★ ★ ★ 田野ユタカ アルバム発売記念ライブ ★ ★ ★

風の心地よい快晴の日でした。
この日、ひとつの夢を叶えた男が、
あるライブハウスのステージに立ちました。
これはその夢を祝う宴の物語です。

 

2002.4.27 Sat.   in 吉祥寺 Be-Point

一部 

 ♪ ♪ ♪

二部 

 ♪ ♪ ♪

1

冬が好き

1

ENCORE LOVE

2

京都・紅

2

放浪女(Bye-Bye Blues)

3

約束

3

ジョージタウン・セレナーデ

4

What You Have Given Me

4

魂の轍

5

四万十川

5

CANVAS TOP

6

十二単

6

摩天楼ホテル

7

ブルース色の雨に濡れてる

7

ターニング・ポイント

 

 

8

主のない部屋

作詞&作曲 田野ユタカ
一部-4 作詞/Yako 補作詞/田野ユタカ   -6 作詞/柳川真寿美  
 ■
深野義和ゲストコーナー・・・二部-1 作詞/深野義和 -2&-3 作詞・作曲/深野義和


 ライブレポート・・・というには、あまりに私的な散文  
By 福娘紅子

 海原を渡るような、青い階段を静かに降りていく。
 降りきった先は、ライブハウス。
 これから、田野さんのアルバム発売記念ライブが始まるのだ。

 入口でアルバムを購入する。これが、夢の集積。たった100グラム程度。
 軽くて・・・そして重い。
 Be-pointは、大人でも落ち着いて音楽を楽しめる雰囲気の店だ。
 壁にたくさん貼られたソウル系のLPジャケット。ホール形式の椅子の並べ方。
 そして、田野さんを祝福しに全国から訪れたファンのみなさんも、少し「おとな」だ。
 でも、みんな少年や少女のように、瞳をきらめかせて開演を待っている。

 「こんばんは」
 照れ屋の田野さんらしく、スタートはさりげなかった。
 確かめるようにギターを握り、大切にいだき、つまびき始める。
 「一曲目はチューニングって曲でした」
緊張をほぐすのに、笑いを取る。
 自分も笑ってみせる。堅さや気負いは感じられない。柔らかい笑顔だ。
 原点である、自分一人の弾き語り。
 素朴だけれど優しい曲「冬が好き」でライブは始まった。
 一曲終えると、田野さんは嬉しそうに自分のアルバムを取り出した。
 ジャケット写真を撮ってくれた写真家の高橋氏は、大学時代の友人だそうだ。
 江古田の街並、M大の塀がちらと脳裏に浮かぶ。あの街で、そうか。という感じ。


 ジャケットの赤いガーベラの窓辺は、京都の長楽館のものだそうだ。
 田野さんの京都好きは有名だが、その大好きな京都の歌「京都・紅」、
 そしてやはり好きな土地・八ヶ岳を歌った「約束」と続く。

 そして、ホセ有海さん登場。
 HPに投稿された歌詞に田野さんが曲をつけた「WhatYouHaveGivenMe」。
 許されぬ恋に区切りをつける為にひとつの曲を送ったという、
 作詞された方のエピソードが心に刺さり、切ない。
 それを受け止め、素敵な曲に作り上げた田野&ホセの暖かさにも、しんみりしてしまった。

 しっとりした和風エッセンスの曲が続く。
 「四万十川」のオカリナの音は遠い高知の空の色を思わせる澄んだ音色だ。
 「十二単」の妖艶なメロディにホセさんのコーラスが映える。
 あっという間に、一部最後の曲。どこか懐かしい感じの「ブルース色の雨に濡れてる」。
 田野さんの曲は、時々、自分がすごく若くて青くて、赤面していた頃の感じや、
 小さくて未熟で、拳を握りしめ肩を震わせていた頃の感じを、稀に、でも確かに思い出させる。
 辛かった事のはずなのに、それは今では甘く切なくて、
 田野さんの心地よいメロディといっしょに雫のように流れ落ちていく。

 二部は、まずはゲストの深野さんのコーナー。
 田野さんと作った曲と、ホセギターが映える曲、そしてここ吉祥寺の曲。
 ホセさんのボーカルおまけ付き。

 19年前、田野さんの歌を初めて聞いた時、
 彼はすごくとんがった感じで(若かったし)トゲトゲしていて、正直言って少し怖かった。
 歌い方も、メロディは今と変わらずきれいなものが多かったが、
 怒って歌っているの?と思う時もあった。何かに苛立っていたのかもしれない。
 深野さんや、ホセさんや、それから19年間のいろんな出来事が彼を変えたと思う。
 10年ほど前、あの場所に深野さんがいて、歌っていた。
 そして今夜も。深野さんはそんな人だし、そんな歌を歌う。

 で、バンド。もう一つの田野さんの夢だったホセさんとロクさんのツインギター!
 なんて贅沢!まったくもうってくらい我儘!
 このあとは「もう、今夜はお祭りだぜい」って感じでした(笑)。
 だいたい、バンド名が「ブラック・スキャンティーズ」?色っぽすぎ(そうか?)。
 メンバー紹介でみんなのパンツ確認までして、見たくないっちゅーのに〜!
 クールにホットなロクのストローク、
 控えめだけれど堅実なきょんのベースとヒデのドラム、
 そして待っていたんだこの音を!ホセのエレキはほんとに久しぶり。
 エレキの音って体が覚えてるんだなあとつくづく思いました、震えが来ましたぁ!
 もちろん田野さんはセンターでノリノリ。かっこいい!夢の宴だよ。楽しんでね。
 でもそんなこと思う前から、いっちばん楽しそうなのは田野さんでした。
 おっ、これがさっき深野さんが言ってた「XXX」か?(笑)

 でも、宴には限りがある。燃えつきてしまったから、もう夜はおしまい…。
 最後の曲は、アルバムタイトル曲「主のない部屋」。
 ここで以前、ホセさんと二人のアコーティック・バージョンで聞いた。
 今、バンドで聞いているのが不思議な感じだ。あれは、シングル発売記念ライブだった。
 あの時夢を一つ叶え、そして今回また一つ叶えた田野さん。
 また新しい夢を見てほしい。また、新しいタバコに火をつけて。
 私たちに新しい夢を見せつけてほしい。
 アンコールは「LADY FUR FUR」と再び「CANVAS TOP」。
 汗がまぶしいほど輝いていた。

 アルバム発売おめでとう、田野さん。さて、次は何を見せてくれるの?





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