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2016年1月9日(土)

“Oh My Friend
LIVEレポート

於:西荻窪「奇聞屋」


by かおり


   
 PROGRAM♪

    一部

  1 Oh My Friend       詞曲 田野ユタカ
  2 Blue Time Scene       詞曲 田野ユタカ
   3 冬が好き         詞曲 田野ユタカ
   4 京都・神楽岡坂        詞曲 田野ユタカ

  
5 郡上夢宵 ~New~    詞 内田りま 曲 田野ユタカ
 
 
6 
Tokyo City Lights      詞曲 田野ユタカ
  
7 ち・が・う          詞曲 田野ユタカ
  
8 僕が君に想う事       詞曲 田野ユタカ

    二部
  1 船出の朝        詞 山上路夫 曲 大野克夫
  
2 夕霧坂          詞 紺野あずさ 曲 田野ユタカ
  
3 見えない明日を求めて  詞曲 田野ユタカ
  
4 星のゴンドラ      詞曲 田野ユタカ
  
5 飛行灯         詞曲 田野ユタカ
  
6 瞳を閉じて過去を撃て  詞 柳川真寿美 曲 田野ユタカ
  
7 ジェッダの風      詞曲 田野ユタカ
  
8 主のない部屋      詞曲 田野ユタカ

    Enc.

  
1 初詣          詞曲 田野ユタカ
  
2 背中合わせ       詞 田野ユタカ 曲 佐藤房夫
  
3 芝居仕掛        詞曲 田野ユタカ

  

 

  今年の冬は暖かい。
  うちの裏手の蝋梅も、例年ならすっかり葉が落ちて花だけが黄色く並ぶ時期なのに、
  花と葉が混在しています。そして、この日の奇聞屋さんもまた、
  穏やかで暖かく、小さな春のような一夜でした。

  いつもの細い階段を降りていくと、いつものようにスレンダーな田野さんの姿が…

  今宵はモノトーンの出で立ちです。
  じっくり観察すると、モノトーンのTシャツにモノトーンのジャージ素材のジャケット、
  スリムパンツにスニーカー。ヘアバンドはラメ入りの黒、もちろん胸にはシルバーのネックレスが光ります。

  マイクスタンドに掛けたタオルまでモノトーンのストライプ。いつもながらの隙の無さ。

  隅に陣取られた深野さん、そして有海さんにもご挨拶を済ませ、
  田野さんに誘われて席に着くと、次のお楽しみ、LIVEメニューが待っています。
  このメニューの内容で、順番で、その夜の心の準備をしなくては、ですよね。
  胸の高鳴りを押さえつつ、おもむろに…ほおほお…んふふ・・・これは?…おお!…だよね~…あ・・・!
  (テーブルの下で小さくガッツポーズ)。


  田野さんの『あけましておめでとうございまーす!』の声と共に、期待の第Ⅰ部が始まります。

  <Oh My Friend><Blue Time Scene
  まずは軽やかにアップテンポで。

  自然と身体が動き、序盤からの有海さんのシャウトに身体の内側からも熱くなります。

  <冬が好き>
  その曲を聴いて、初めて聴いたときの状況が、心情がうわぁ~っと蘇ってくるのは
  やはりきっと好きな曲なのですね。今ここにいることの幸せをかみしめる曲です。


   <京都・神楽岡坂>
  今回のタイトルには、今までのライブのときには無かった『京都』が付いています。
  田野さんの曲には<神楽坂>もあるので、『京都』と付けることは是か非か、
  また歌詞の中の『曼殊院』の読み方について、みなさんのご意見を伺いたいとのこと・・・。

   私の意見は別途お伝え致したし。
  ともあれ、タイトルのことなどさまざまな思惑を余所に、
  この曲はきらきらとはらはらと軽やかに心の中に流れ込んできます。


  <郡上夢宵>
  詞は、深野さんの教室の生徒さんで新進気鋭の作詞家、内田りまさん。

  然して、その詞は田野さんのメロディラインに乗ると、その輝き、弥増しに増して。

  <Tokyo City Lights>
  こちらも初めて聴いたときの映像が、くらくらと蘇ります。
  1
st.アルバム
の一曲目、歌い出しの声にあまりにぞくぞくしてなんだかうろたえてしまったのでした。
   今宵のお二人のハーモニーにも、満足のため息しかありません。

  
<ち・が・う>
  もうやめて、これ以上、聴かせないで・・・と言いたくなるほど田野さんの声が切ない。
  悲しい詞ですが、この女性は強い人と思います。自分を持っている。
  田野さんがもし女性なら、こんな別れもいとわないのかもしれない。


  
<僕が君に想う事>
  なぜ、何故ここまでやさしく出来るの・・・、
  この『僕』の胸中に想いを馳せながら聴くのが好きです。大事な曲です。


  
そしてこの夜の客席には特別なお客さま。
  田野さんの長年のファンで、京都・名古屋・八ヶ岳と
駆け巡り、
  福岡ではライブの企画もなさったというTさん。ご事情で本当に久しぶりとのこと。


   お話もさせて頂きましたが、とてもチャーミングでありながら、
  地に足をつけてしっかりとご自身の人生を生きているという印象の方です。
  田野さんは、ときどき彼女から「ガンバ!」と喝を入れて頂いていたとか、いないとか・・・。


  
休憩も終わり、お待ちかねの第二部

  
<船出の朝>
  かの沢田研二氏の隠れ名曲とのこと。
  とてもきれいな絵を眺めているような、雰囲気のあるストーリーの曲でした。
  いわゆる「ジュリー」のイメージとは違う・・・。

   そしてカバーのとき、田野さんはいつも、その曲をとてもとても丁寧に歌うなあと感じます。

  
<夕霧坂>
  魅力的な世界をいろいろとお持ちの、ちょっとミステリアスな紺野先生の作詞。

  
とても懐かしいような幻想的なファンタジーの世界でした。

   <見えない明日を求めて>
  昨秋の八ヶ岳ライブの新曲。八ヶ岳では、その広大な空の下、

  
雄大な山々を前に、自分の存在の心許なさを感じてしまいます。
  その気持ちを思い出しました。

   自分を振り返りながら、それでも、それでも、生きていくんだなって。

  
<星のゴンドラ>
  浮かない気分のとき、空を見上げてこの曲を思うと、
  自分自身も凜とした強い女性になれるような気がするのです。『わたしは平気よ』って。

  
それから、この曲はお二人の歌い方が好き。かっこよくて大好き。

   <飛行灯>
  息を殺して自分をしっかり押さえていないと、粉雪と共に自分自身も消え去っていきそうな感覚。
  お二人をじっと見つめているのに、目の前には遠くモノクロの映像が見える。


  
<瞳を閉じて過去を撃て>
  ・・・前の曲とのギャップが大き過ぎ・・・!気持ちが追いつきませんて。


  
<ジェッダの風>
  冬の夜に、エキゾチックな香りをまとう熱風を感じるという違和感の心地よさ。
  冬の夜に、暖かい部屋でアイスクリーム、みたいな贅沢感?


  
<主のない部屋>
  『もう夜はおしまい』・・・なんて悲しいけど、さびしいけど、なんて優しくてあたたかい声なんだろう。
  『誰もいないスイートルーム』・・・もうおしまいなんだけど、さびしいけどなんだかしあわせな想い。


   
アンコール
  
<初詣><背中合わせ><芝居仕掛>
  今回はえらい賑やかなアンコールタイムでしたね。



   ライブに来ることが出来るって、本当に幸せなことです。
  自分の状況が、身体の状態が、ときには自分の周囲の理解がなければ、来ることが叶わない。
  
そして田野さんの音楽が好きで、とても大切にしている人たちが集まってくる、とても大切な空間です。
  とても大切な刹那です。一瞬一瞬が過ぎ去っていくのが惜しいほど。
歳を重ねるほどに思います。

  
さあ、次のライブは五月、皐月とのこと。
  花吹雪が空に舞えば、その次には目にも鮮やかな
新緑の季節ですね。
  花吹雪も新緑もライブも、すべてが楽しみです。


  
田野さんは相変わらず、いえ以前以上に、お忙しいのですよね。
  でもその忙しさに、ご自身の限界に、挑戦することを楽しまれているかのように見せてしまうのは、
  田野さんならではと思います。これ以上、無理しないでくださいね。
  身体能力の高さ・柔軟さは、もう十分わかりましたから・・・? ちょっと、なんのこっちゃになりましたが、

 
  風薫る五月を夢みて、また田野さんの音楽を愛する方々が集えますことを祈って。

                                
by かおり