田野ユタカ 4th Album 発売記念LIVE ~音楽のチカラ~
2022年5月3日 於 大塚“Welcomeback”
おだやかに広がる空はどこまでも青く、
やわらかに浮かぶ雲はキッパリと白く、
なんだか田野さんのイメージそのものだなぁと、
電車から外を眺めながら向かった、久しぶりの大塚。
迎えてくださったのは、このアルバム制作に
どれだけ心血を注がれたのだろうかと思わせる、
ますます研ぎ澄まされたような身体つきの田野さんでした。
でも掛けてくださる言葉は相変わらず、やわらかく、あたたかい。
この日のお召し物は白Tシャツにやさしいスミレ色のシャツを羽織られて、
そして、やはり目が行ってしまう胸元のペンダント。
どれにするかな~と悩まれるのも、田野さんの楽しみのひとつなのかな?
まずI部 <月の灯かり>から。
イントロのない切ない歌い出しが好き。さあ、心地よく酔わされて・・・と?
機材の不具合でストップ…?。
これをきっかけに、まずは新作アルバムの紹介となりました(笑)。
このアルバムに託された想い、そして携わられた方々について。
田野さんはおひとりおひとりを本当に大切にされるので、
自然と素敵な方々に囲まれておいでになるのでしょう。改めて、思います。
そして、LIVEメニューにあった、この曲についての田野さんのコメント。
「とても思い入れて下さるファンの方がいらっしゃって・・・」と、ありました。
一人一人の曲への気持ちも、とても丁寧に掬い取って下さっていると感じています。
ではでは、歌い直し、酔い直し。
この曲も見えてくる映像が綺麗。
月影に浮かぶ貴方のシルエット。すべてを見通す月の灯かり。
月の夜は言葉に尽くせぬ気持ちがあふれてくること、思い出させてくれます。
Albumで聴くとまた違って、曲の情景というよりも、
ほの暗いステージで田野さんが歌っている姿が浮かんできて。
素敵な夢の中みたいでした。
<クスノキ>福山雅治さんのカバー。
長崎の観光タクシーのドライバーさんが歌ってくださったとのこと。
この曲に描かれている片足鳥居、永らえたクスノキ…。
田野さんの声で聴かせてもらえて良かった。
今の世に於いて、なによりもなによりも響く歌でした。
<鎌倉如月日向道>
ここでホセ有海さん、ご登場。パナマ帽?ストローハット?
とまれ、いつの日も帽子がお似合い。
この渋いルックスとギターの指捌き、飽きることなく見惚れます。
そして、くすくすと笑わせてくれるトークとの落差がまた、素敵( *´艸`)。
この鎌倉の日向ぼっこデートから「次、伊豆に行きますかね」と、
田野さん有海さんの天城越えのお話など伺いながら、
<天城中伊豆誘い旅>へと続きます。
<nude>
虚しさは、確かめてみても空虚でしかない。
でも敢えて、その虚無の中を、ただ漂っていたいこともあるのかも。
田野さんのLIVEメニュー・コメントにあったように、
やはり「理屈」ではないのでしょう。
同じ虚しさでもAlbumでは、Liveのときに感じるような重苦しさではなく、
無重力の空間に放り出されて漂っているみたいでした。
<ジェッダの風>
初めて聴いたときの衝撃が、いつもよみがえります。
乾いた熱い風、砂塵にかすんだ異国の言葉で賑わう市場。
見たこともないのに、イメージだけの世界がさぁっと拡がって。
次は<葉山さんせっと>
個人的には、夏は、ちょっと…。海も、ちょっと…。
でもこの曲の、自分の身体を抱え込みたくなるような晩夏の、ひんやりした切なさ。
その肌感覚が好き。有海さんのギターの響きが沁みていきます。
そしてII部は、きりりと黒いシャツにお召し替え。
<京都・栂ノ尾小径>から始まりました。
Albumにコーラスで参加してもらった中村友美さんのご紹介。
そして彼女のピアノだけでの一曲目。
21歳のときに作られたという、そう言われたらどことなく初々しさを感じる曲に、
中村さんのコーラスが妙に大人っぽく重なる。途中のla la laも新鮮。
<Kの夏>
彼女のピアノだけでの二曲目。やはり歌い出しの声に震えます。
イニシャルKでなくても、こんなふうに呼びかけられたら…♡
もちろんAlbumでも素敵でしたけど、Liveでのほうが、よりささやかれている感が…♡♡
<夢ふじみ野>田野さんの心の琴線に触れたという、中村友美さんの曲。
チャーミングな雰囲気の彼女からは想像できないパワフルな歌声。
<想い出が重たすぎて>ここからはスタンディングの田野さん。
バンドメンバーもステージに集結して、曲の厚みもボリュームも急上昇。
聴く側も気合を入れないと。
…個人的には軽快な青春ポップス風(?)な、Albumでのほうが好き。
<China China China><Metro>
どちらの曲も、引き込まれていく映像世界が好き。
でも今日のChina Town、めっちゃ賑やか。今日は旧正月なのかな?
歌詞をじっくり読んでみたら、思っていた以上にCute!
そして、Albumでは、平日のゆったりした午後なのかな。こっちがいいな~。
Metroも今日は、いつも以上に目まぐるしく複雑なパラレルワールド。
頭がぐわんぐわんとなりました。こちらも、今日は入り込むには勇気が要りそう。
Albumの方には息詰まるような翻弄されるような痛みの快感(?)はないけど、
ちょっと今どきのおしゃれなスパイアニメ風の画(?)が軽やかに浮かんで、なんかステキ。
<音楽のチカラ>
このAlbum書き下ろしの新曲。
次回はギターの弾き語りで、じっくりとこのメッセージ、聴きたいなー。
そして、「みなさんで楽しみましょうっ!」と、<Lady Fun-Fun>へ。
そして、そしてアンコール。
<摩天楼ホテル>
(今回はもちろん、今まで全ての田野さんのアルバムを総合プロデュースされた、
かの深野御大が田野さんへの愛情をもって、斯(か)く呼ばれたという)
『ヘンな踊り』も、健在(笑)。
<音楽のチカラ>
この曲に至るまでの不慣れな爆音にへとへとになりながらも、
「ここにいるから」「歌っているから」のフレーズが刺さりました。
でも、やはり次はギターの弾き語りで。ぜひ。
個人的には2019年以来、久しぶりの田野さんLIVEでした。
Albumで曲を聴くのは、田野さんを一人占めしているような感覚。とても贅沢感があります。
そしてじっくりと歌詞を読みながら聴けるのが嬉しい。
でもやはりLIVEは、この空気感でしょうか。音が全身に染み入る感じ。
そして、田野さんご本人にお会いできること。この安心感。
今回のAlbumで聴いた<音楽のチカラ>、
最初に聞こえてくるのは、鳥のさえずりと川のせせらぎでしょうか。
田野さんの初めての印象のひとつは、流れる水です。
清冽でキラキラして留まることがない。自分はどうなんだろう。
そして、深野さん、田野さんに出会えていなかったら。
いろいろ、いろいろ考えて、ふと自分なりに納得です、<音楽のチカラ>。
「次は」「次回は」と、勝手に何度も書いてしまいました。
今回の大塚、そのあとの八ヶ岳とLiveが続いて、毎回全力疾走の田野さん。
それはもう、ちょっぴり心配もしていますですのよ。
「またいつか」諸々すべてのことが大丈夫なとき、
ゆっくりと聴かせてもらえる日が来ますように。
by Kaori
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