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田野ユタカのLIVE後記−74

田野ユタカ LIVE '15 初夏
“nude♪”


2015年5月2日(土)

於:西荻窪“奇聞屋”

出演:田野ユタカ with Jose有海
音響:加藤明



  【LIVEコンセプト】

  nude・・・。
  それまでの経験だけで物事を語る人は有象無象に多いものです。
  傷つきたくないから物差しを持ち、プライドと見栄張りを勘違いした持論を振りかざす。
  でもそれは仕方ないこと。傷つきたくはないものね。否定も非難もする気はない。
  だから押し付けない代わりに押し付けられたくもないだけなんだ。
  でも男と女の計り知れない領域の機微は、そんなつまらない物差しや理論武装を
  いとも容易く無意味で滑稽なものに変えてしまう。そんな瞬間があるとしたら、
  きっと身も心もnudeな時だろう・・・


  【構成】

  結構悩んだなぁ(笑)。とにかくいつものようにJoseさんとステージへ。

   〜 一部 〜
  今回は「Metro♪」で導入し、「no-one in the beach♪」で加速。
  「チャイナ・チャイナ・チャイナ♪」「風になる♪」と紡ぐと、田野の中はもう5月の空気になってる(笑)。
  「ガラスのマドンナ♪」を経て、1月の新曲だった京都の歌「神楽岡坂♪」へ。
  新曲「分水嶺♪」をここで披露し、一部最後は「ブルース色の雨に濡れてる♪」でシャウトします。

  〜 二部 〜

  二部頭はいつものソロコーナー。最近ここでカバー曲をやるのがちょっと楽しい。
  今回は中山千夏さんの代表曲「あなたの心に♪」をセレクト。懐かしいなぁ♪
  メニューに 内緒 と書いたら、「内緒」という曲やるの?との楽しいエピソードも(笑)
  2曲目は久しぶりの「終曲〜フィナーレ〜」を選曲。歌ってて感情が当時にワープしてました(笑)
  3曲目にソロで「約束♪」をご披露しました。

  さぁJose有海さんに再び合体後は、
  まずは「星のゴンドラ♪」をご披露。
  次いで今回のLIVEコンセプト曲「nude♪」を配します。
  終盤は「夜叉W♪」「確かな痕跡♪」と続けてヒートアップ。
  ラストはやはり今年も「Real Road♪」をセレクトしました。


  〜アンコール〜

  「芝居仕掛♪」「Fan♪」と駆け抜けたところで、
  客席の常連さんから先日に亡くなられた米歌手のキングさんを偲び、
  Joseさんが十八番とする「スタンド・バイ・ミー♪」をリクエストする声が…これに応えます!
  ボーカルをJoseさんが取り、田野はBハープでサポートする即興ユニット(冷汗)
  やんやの喝采後、最後にソロで「鏡の中の東京タワー♪」を披露して今回のLIVEは終演です。


 【新曲】

  「分水嶺♪」
  それは山深く湧き出た水が1筋の流れとなり、山裾の地形を這う内に、左右に分かれる分岐点を経て
  小さな川となり、周辺の湧水を蓄えて大河となり、やがて海に注ぐ…その分岐を分水嶺と呼ぶ。

  同じ所に生まれ出でて共に流れ、ほんの僅かなタイミングでこの分水嶺で一度別れた水は、
  二度と再び巡り合う事なく、違う河を生き、違う海に出て果てる…

  その昔の旅の途上で岐阜の山奥で見た分水嶺は、一筋が庄川となって富山側に流れて日本海に注ぎ、
  一筋は清流長良川となって太平洋に注ぐ…気が遠のくような不思議な感覚でした。

  人生や男と女の機微にもこれに似た感覚がある…そうじゃないですか?
  一度分水嶺を経たら戻ることは二度と出来ない…その手前で気づかぬ限り…
  もう各々の海を目指すしか道はない…容赦なく流れ続けるしかない…涙を流しながらでも…
  そんな(どんな?笑)感覚の曲です。


  【お客様席】

  GWど真ん中にも関わらず、バラエティーに富んだお客様陣が客席を埋めて下さいました♪
  遠方からは群馬や愛知からも駆けつけてくれましたね。ありがとうございます。

  子供の頃から知っている青年が忙しい中を駆けつけてくれ、結婚しますと報告をしてくれました。
  彼にも本当に辛い事を含めて色々あったなぁ。でもよくぞ立派に成長して♪
  お相手の娘さんにはお会いした事があります。まだ付き合い始めの頃の二人だなぁ(笑)
  広島の尾道でした。初々しい二人を見ていて「尾道葉桜春小路」という曲も作ったっけなぁ。
  二人にも色々あったんだろうなぁ。でもよかった。ちょっと感無量。幸福になって欲しいぞ(^-^)v

  福祉の仕事をされているMさんはお久しぶり♪互いに最近は体のガタの話が増えちゃったね(笑)
  女優の松下京子さん、シンガー&ソングライターのご存じ中村友美ちゃんも久しぶり(^-^)/
  奥の席では終盤に舞台監督のO氏も駆けつけてくれた!ありがとう♪


  【エピソード】

  若い頃から行きつけていた地元のスナックを初代から引き継いだ2代目のママの話を書きます。
  その人は年に1〜2回ペースで長くLIVEにも通って下さいましたが、先日ご逝去されました。
  1年近い壮絶な闘病を経て、桜の開花と共に逝き、桜の散る中を天に旅立って行きました。

  その方は中国のご出身で、若くして結婚と離婚をし、娘さんを別れたご主人の元に残して来日し、
  先代のママが切り盛りするそのスナックで働くようになりました。
  真面目で、仕事は一生懸命でした。それから書き切れない位に本当に色々な事がありましたが、
  紆余曲折の果てにそのスナックを任されるようになり、彼女のやり方で徐々にお客様も増え、
  大好きな日本で自分のお店を持つという夢…一度は破れましたが、
  二代目のママとしてとうとうその夢を叶えました。
  田野はその人を語る時「日本人より日本人らしいおもてなしを自然に振舞える人」と表現します。
  
  本当にこれから…という時に若い頃からの無理からか癌を発病され、末期と言われながらも
  1度、いや、2度お店に復帰されましたが、花が好きだったその人は花の頃に逝き、花の盛りの、
  正に彼女の誕生日に皆に見送られました。最後の最後まで、ママという役を劇的に演じ切りました。
  葬儀の弔問者は皆スタンディングオベーションでした。田野LIVEは丁度1年前のGWが最後だった…。

  客席にはその人の娘さんが来てくれていました。娘さんも母親と同じような歳頃に来日しました。5年前?
  お母さんに連れられて、母娘で浴衣姿で夏のLIVEに来て、キョトン顔で座ってた…最初の印象でした。
  その後も1〜2度お母さんと来てたと記憶しますが、急に来日した彼女は中華系職場に勤めた事もあり、
  日本語がまだよく話せません。最近は片言と筆談でコミュニケーションが取れるようにはなりましたが…
  そんな彼女がお母さんの意思を汲んで、3代目のママとしてお店を切り盛りする事になりました。
  周囲は自分も含めて若さと言葉のハンデを心配しますが、来日した頃の可愛いイメージから大人の女性へ…
  この日の彼女からはそんな思いが伝わって来るような空気を、その装い以上に感じました。

  生前のお母さんが日本で愛してくれた音楽の一つに田野があった。遺品には2枚のCDアルバムも…
  そのお母さんが愛してくれた田野LIVEを、お店の都合をつけて聴きに来てくれた娘さん。
  言葉は解らなくても、伝わるものは伝わってくれると信じたいね。
  この日の田野は終始涙を堪えながらのステージでした。



  【アンケート】

  うわぁ〜、見事に票が散りました。
  「風になる」、「神楽岡坂」、新曲の「分水嶺」、ソロの「約束」、「星のゴンドラ」、「Real Road」が
  まったく並んでいました。人の感性と個性って、ホント不思議で愛おしいですネ!
  カバー曲の「あなたの心に」にもご支持を戴きました。嬉しいね。
  カバー曲コーナーは結構定着且つ楽しみにしてくれているようで、
  STDを選ばない意外性とマニアック&思い入れ選曲でネタの尽きるまでやりましょう♪。

  アンケート、本当に参考になります。いつもありがとうございます♪


  【所感】

  ちょっと緊張しました。お客様側も田野側も、本当に色々な事を乗り越えて集っている。
  それがLIVE。その奇跡な時間に心をnudeにした瞬間を共有し、
  また幾つかの分水嶺を経て集う時までを戦友達が各々に帰っていく。
  その後ろ姿の愛おしさを改めて痛いほどに感じたLIVEでした。

  田野の場合はこの規模だから、このスタイルだから長く続けられたのかもしれません。
  この先何処まで行けるのか?行ける所まで行くしかないんですよね!判らないから面白い♪
  夏にまた音楽で再会しましょう!本当にありがとうございました♪


                     田野ユタカ