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田野ユタカのLIVE後記-85

田野ユタカ LIVE '18
“My Favorite Sho-Wa Songs♪”


2018年5月5日(土)

於:巣鴨“手風琴”

出演:田野ユタカ



  【LIVEを組むまで】

  昭和・・・。
  【産まれ、育った時代の音楽たちへの憧憬と慈しみ】
  様々ないい音楽達が、昭和の自分が生きた時代時代にあった。
  それは人としての自分の感性やその後の生き方にも多大なる影響を与えた!
  音楽をLIFEワークとした自分の原点たちと向き合い、今の自分の音楽達とシャッフルし、
  シンガーとしての部分で同一LIVE内で表現してみたい・・・

  自分のLIVEで1曲ずつカバー曲を紡ぐようになってから・・・
  それは「いつか」という自分の構想の中にあった。

  事情で東京での単独LIVEは去年の8月以来出来ていない。
  更に事情でこの6月以降が読めない今、ここらで無理してでも一度LIVEを組んでおきたい。
  今の状況でやるなら一人での弾き語りになるが、
  ならば巣鴨の原点回帰空間❝手風琴❞さんで、長年温めた昭和とのコラボ構想を実現しよう・・・
  "てなこと思って その気になって~♪”(笑)、組ませてもらった今回のLIVEでした。


  【構成】

  一度限りにLIVEで歌い紡いできた曲達から、自分の思い入れで選曲構成した一部…
  いつものように新曲も織り交ぜた季節厳選のプログラミングで構成してみた二部…

   ~ 一部 ~
  ①森山良子「❝さようなら❞の世界」
   自分が小学生の高学年の頃、カレッジフォークの女王として売り出された良子さん。
   しかし「禁じられた恋」を歌っている頃、本当にやりたい事をやっているようには見えなかった。
   堪えて耐えて、徐々につまらない事務所の意向に対して自分の主張を通し、
   曲作りやコンサート、アルバム作りに込めたメッセージにも、良子さん本来の思いが滲み始めたのは
   自分が高校3年の頃。友人に借りた、当時リリースしたアルバムの片隅に入っていた1曲。
   後に六文銭の及川恒平さんの作詞、小室等さんの作曲と知った。美しくも淋しい、
   少女と大人の狭間で揺れる女性心理をアーバンテイストに歌い上げた曲だった。
  ②Gスサーナ「白い思い出」
   18歳の頃にバイトしていた喫茶店のママさんが好きだグラシェラ・スサーナさん。
   朝な夕なにBGMで微かに流れていたので、その歌声はある意味自分に染み込んでいる。
   彼女は菅原洋一さんに見い出されて、地球の裏側からギター1本を持って日本に来た。
   彼女は様々な日本の曲や洋楽をカバーしていたが、その背伸びをしない素朴なトーンが、
   より曲達の深みを引き出していたように感じた。この曲も彼女の歌で知ったが、競作だった。
   でも他の人のバージョンは聴かないようにしている。日本人より日本人らしい…歌手のように思う。
  ③かぐや姫「加茂の流れに」
   田野の京都を歌った曲たちの原点。結果的に京都を舞台とした恋愛も若い頃から幾つか経験もした。
   今思い返せばか~なりドラマチック(笑)なのもあり、気恥ずかしくもあるが、歌でしか語らない。
   でも経験は間違いなく血肉になっている。必ずしも和のテイストの詞やメロディーとは限らず、
   そんな心象風景達は田野の曲の中でも数多い。この曲を聴いたのは高校生の頃だった。
   中学の卒業旅行で仲間と京都を旅して以来、今でも毎年最低一回は欠かさずに京都を訪れる。
  ④山崎ハコ「竹とんぼ」
   自分が大学生の頃に聞いた。そのリコーダー系の音色に彩られたアレンジのトーンが好きだった。
   その後作っていった曲の中ではオカリナなどの楽器や、アルバム収録曲のアレンジでも、
   笛系の音色を好んで使うようになった。暗い歌詞も、アレンジのお陰で抒情的に聞こえたものだ。
   アレンジのチカラを教えてくれた曲でもある。作詞作曲歌唱だけでは伝え切れない機微もあるものね。
  ⑤加藤登紀子「別れの数え唄」
   自分が小学校高学年の頃に「ひとり寝の子守唄」で世に出たお登紀さん。
   そこそこヒットしたこの曲の次に出たのがこれ。歌詞一つ一つが意味深で、当時のガキには理解不能(笑)
   でも人を慕う女性の深い思いを子供心に垣間見たように感じた曲だった。
   東大卒のプロフィールは事務所の売りだったが、この頃のガキには満州生まれである事も、
   学生運動の闘士と獄中結婚していて、塀の中の夫に向けたメッセージが曲に込められていた事等々、
   その頃は知る由もなく、曲の深さに魅せられていた。素敵なお登紀さんに乾杯♪
  ⑥岡林信康「手紙」
   同和部落差別が社会問題として取り沙汰された頃、自殺した実在女性の無念の思いを歌い上げた、
   切なくて哀しくも美しい曲。ギターのイントロだけで解ったあなたは通!
   時を経て思うのは、人間は愚かしくも哀しくも、いつの世でも差別をしたがる生き物のようですね。
   人がどうなのかでなく、自分はどうなのよ? Believe in Mine!
   曲は自分が中学生の頃に初めて聞き、高校の頃にはアルバムを集めて聴き漁ったんだ。
   リアルタイムでは子供過ぎて、理解し得なかった多くの事…感性だけが何か引っ掛かって覚えていた。
   放送禁止や発禁等で当時の大人達に隠された事…イムジン河然り…まぁ今も変わってねえか(苦笑)
   岡林信康さんが美空ひばりさんにも曲を提供しているってご存知でしたか?
  ⑦かぐや姫「神田川」
   ヒットしたので「ああ」という方も多いと思うが、元はアルバムの片隅にひっそり入っていた1曲。
   時代は反体制への弾圧が徐々に勝り、学生運動も下火になる中で行き場を失った若者たちが、
   ある者は地下に潜って闘争の形を変え、ある者は優しさに走って愛こそが平和を齎すと信じた時代。
   若者はファッションを意識し、群れる街が新宿から原宿へと流れていった時代。無気力層も増えた。
   上村一夫さんの漫画「同棲時代」が流行り、暮らしに追われる若い恋人たちが巷に溢れた。
   自分の住んでいた身近な所にその川はあり、川岸の両側には確かに古いアパート達が多かった。
   貧しくも美しい刹那なこの世界観を初めて聴いた時、時代背景も伴って感動した。
   今の人達に理解しろと言っても無理だし、その必要もないこと。
   ヒットして欲しくはなかったと願ったのも手前勝手な思い入れがあるから(笑)
   時代変遷を身近に感じていたこの頃、田野の感性はビクンビクンと反応しまくっていた。
   高校生だった田野は、ギターを手に取り、もう音楽を始めていたんだ。
  ⑧中山千夏「あなたの心に」
   自分は小学生だった。爽やかで明るいこの歌は、子供心に恋する女性の素直さを好ましく感じさせてくれた。
   中山千夏さんはどうしてるん?聡明な方だったけど、政治家になってからはパッとしなかったなぁ。
   ま、いっか♪


  ~ 二部 ~

  ①SAKURA
   時期は過ぎたが、今年も一回は歌っておきたかった3rdアルバム収録曲。
   聴けば聴くほど自分で好きになってしまう(笑)珍しい曲。
  ②Believe in Mine
   昨秋の八ヶ岳LIVEでの新曲の東京初お披露目。
   諸々あったが長く勤め切った会社を去るに当たって残すメッセージのようなものかな(笑)
  ③約束
   この時期に限らないが、ましてやこの時期なら尚更外せない1曲。
   もはや田野のものではなく、皆さん各々の中に寄り添う域にまで成長してくれた曲であり、
   それがまた田野を成長させてくれたようにも思う愛おしい5月の代表曲。
  ④愛しさの果て【New】
   今回の新曲。田野の中でサビの部分が浮かんでから随分と長いRefrainを経て、
   この度自分の中の創作フィルターを通って地上に降りて来たような曲(笑)。
   どこか懐かしい、どこかで聞いたような…田野もそう思うし、聴いた人もそう思ったのに、
   それが誰の何という曲かがどうしても思い出せない…
   でも一部とのコントラストで解ったのは、どこかにルーツはあるという事。自分で知りたい。
  ⑤神楽岡坂
   3rdアルバムに収録の京都の曲。田野の中ではあまり人様に教えたくないスポットです。
   有海さんのGフレーズをハミングしてたから忙しないのなんの(笑)
  ⑥Metro
   丸の内線の傍で生まれ育った田野には、東京の地下鉄を背景とした場面は割と多いのです。
   曲では拓郎作曲の猫の「地下鉄に乗って」や映画「地下鉄(メトロ)に乗って」や「三丁目の夕日」でも、
   Metroはいつも身近にあって、昔から喜怒哀楽を見ていてくれたように思うんです。
  ⑦Kの夏
   意味深にイニシャルで語る「K」との恋物語。具体的な夏祭りは…ん、内緒!
   具体的な舞台の町は…いやいや、やっぱ内緒(^m^)
  ⑧Real Road
   最後の最後まで迷って、最終的にセレクトした最後の1曲。この曲にしてよかった。


  ~アンコール~

  「背中合わせ♪」 作曲の佐藤房夫さん来てたし♪
  「Love Letter♪」 舞台監督のOちゃん叫んでるし♪
  「ブルース色の雨に濡れてる♪」 声、涸れ果てたし♪


 【新曲】

  「愛しさの果て♪」
  十代の頃の悔いが、未だにこんな形で曲になる。
  何であんなに好きだったのに別れなければならなかったんだろう?
  馬鹿みたいに単純に好きだったから・・・本気で幸福にしたいと思っていたのに・・・
  今にして思えば自分が傷つけ、自分が傍にいる限りその傷は癒えないと知ったから・・・か

  こればっかりは時間を戻せない。今ならもっと上手に…とか思ってもタラレバだ。
  その悔いが曲を作らせ、歌い紡ぐ原動力の一つでもある。
  一生賭けても伝えたいメッセージがどこか根深い所で燻り続けているのかもしれないね。


  【お客様席】

  この日も客席はGWの中を多くの素敵な方々が埋め尽くして下さいました。

  ぶんいとうさんはお久しぶり!打ち上げではスパイダースの「真珠の涙」をコラボ♪
  愛知からのMinaさんや福岡から今は千葉に在住のIkukoさんもこの日は打ち上げにも参加。
  二人が歌ってくれたのは初めてで、新鮮&嬉しい出来事でした。
  いつもは音響ブースの加トさんも、大学時代のユニットの相方の佐藤房夫さんも来てくれた!
  O監督は女優さんお二方を伴ってのご参加!楽曲提供の話しも進み、また素敵な出会いが生まれたかも!
  田野の身体をいつも一生懸命ケアしてくれるAさんは初めてのご参加!ステージに立てるのは貴女のお陰です。
  「尾道葉桜春小路」という曲のモデルだった当時十代のカップルが、結婚後二度目のご夫婦揃い踏み!
  N山ご夫妻にもツーショットでご参画頂きました♪

  お客様は田野の鏡です。本当に自慢のお客様です(^-^)/


  【アンケート】

  今回は振り忘れも有り、回収0でした(^-^;
  後にSNS等で戴いた感想では、
  カバー曲も全てが田野の曲であるかのように図々しく(笑)歌ってたようです。
  新曲も取りあえずは合格点だったようです♪
  取りあえずLIVEの企画としてはよかったのかな(^^)v


  【所感】

  LIVEを組みたくて、でも組めなくて・・・
  曲を作りたくて、それを歌い、伝えたくて・・・。
  先延ばしにしていたもう一つのフィールドでの身の振り方にここ何年か悩んでいた。
  損な生き方はいい。自分に返ってくるだけだからね。
  ただ永年の仕事の中で、お世話になった方や、義理のある方、心配して下さる方がいる。
  「田野がこんな処遇であってはならない」「後進の士気に影響し、為にならない」等々・・・

  その方々の期待とご好意を受ける事にした。6月以降、公の立場が音楽する自由を利かなくするけど、
  それも含めて生き方だから、生き方が田野の曲だから、避ける訳にもいかないんです。
  あと3~4年、自由への長い道のりは田野を消耗させ、疲弊させるでしょう。
  ブランク後はステージに立てる状況に仕上げられる保証も何もない。
  ただでさえここ何年かのLIVEは、毎回がラストかもしれないという刹那な恐怖との闘いでした。

  でもね。よくここまで続けたな、やり通したな、とも思うんです。
  それは言うまでもなく、皆さんがLIVEに来て下さり、求めて下さったお陰です!
  ありがとうございました♪暫くご無沙汰しますが、このLIVEが最後ではない事だけはお約束して、
  後記の筆を一旦置きますね!どうかまた逢う日までお元気で(^-^)/


                                       田野ユタカ