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田野ユタカのLIVE後記-86

田野ユタカ LIVE '17秋

“ありがとう奇聞屋 さようなら”
於:西荻窪“奇聞屋”
2018年10月7日(日)

出演:田野ユタカ Guest:Jose有海



 【ありがとう奇聞屋さん】

 永年お世話になった奇聞屋さんが年内で店を閉める事になった。
 今の環境でLIVEを組むのは難しいが、その話しを知ったらもう矢も楯もたまらない。
 もう一回あのハコで歌いたい。沢山のお客様と共有した時間、思い出、出会い、別れ、感動・・・
 噛みしめてしっかり最後の1頁を紡ぎたい。そして伝えたい。「ありがとう」そして「さようなら」を。


 【構成】

 一部は独り語りで昔の曲に新曲を織り交ぜ。
 二部はカバー曲と、この日14か月振りに再会したJoseさんと珠玉のラインナップを。

  ~ 一部 ~
 「高速旅行~ハイウェイトリップ♪」でLIVE IN。
 次いで2ndアルバムから「Love Letter♪」をセレクトした物語のIntroduce。
 超久しぶりの「ロッヂの風景♪」は学生時代のユニット時代の曲。作曲は佐藤房夫さんだ。
 「天城中伊豆誘い旅♪」は東京ではあまりやっていない伊豆が舞台の悲恋歌。
 「栂ノ尾小径♪」も学生時代の京都の曲。次いで「しょうこ まい らぶ♪」も十代の作品になる。
 「だから海に来た♪」は千葉の外房にある鵜原に滞在した時に作った、やはり葵時代の曲。
  ここで新曲の「輝きつづけて♪」を歌って一部を終演しました(^_-)-☆

 ~ 二部 ~
 二部の一曲目はソロで、深野義和さんの名曲「京都で逢った人♪」をカバーさせて頂きました。
 ここでいよいよJose有海さんと14ヶ月振りの合体。
 お客様にも思い出や思い入れが深いであろう珠玉のラインナップへと突入します!

 まずは「Tokyo City Lights♪」。
 次いで「Dear Mermaid♪」。気持ちが自然と入っていく。
 そして「ガラスのマドンナ♪」へ!心はもう泣いていた。

 「僕が君に想う事♪」を歌い上げ、余韻の中を「オブラート♪」でヒートアップ。
 ここで「綺麗事のマジシャン♪」を配し、ややシャウト気味にフィニッシュ!
 そしてラストバラードには、「主のない部屋♪」をセレクトしました!
 如何でしたでしょうか・・・


 【アンコール】

  今回は「芝居仕掛♪」と「Canvas Top♪」でたたみ掛けます
  最後の最後は「鏡の中の東京タワー♪」
をギター1本で。
  
奇聞屋さんでの最後のステージはここで終演となりました…。


 【新曲】

 「輝きつづけて♪」
 このタイトルは深野義和さんに託されたもの・・・。
 夏に「このタイトルで曲を書いてみ」と居酒屋でナプキンに走り書き(笑)で手渡された2つの曲名。
 躊躇わずに選んだのがこの「輝きつづけて」でした。
 深野さんほどインスピレーションで田野に曲を書かせてくれた人はいません。
 どれもがドンピシャでよい曲になって行きました。「星のゴンドラ」なんかもそうですね。

 物語は幾度となく別れを繰り返しながらも離れられずにいた恋の終演を描いています。
 この曲では主演女優はダンサーさんで、吹っ切って自分の道を全うして行く清々しい心模様を描いています。
 とても評判が良かったので嬉しかったですね♪


 【お客様】


 新旧のお客様が程よく融合した、心地よい顔ぶれが客席を埋め尽くして下さいました。
 同じ音楽を通じて出身地や居住地を超えて出会い、いつしか言葉を交わして輪になった皆さん!
 最近は田野の目の前の席に強制的に(笑)座ってもらっています。
 ツアーを廻っていた頃、こんな事は想像もしませんでしたが、本当に嬉しい限りです。

 学生時代の曲もこの日は多くやりましたが、それらを皆知っていたのは当時の相方の佐藤房夫さん。
 正木ご夫妻は久しぶり!もっか田野の最年少女性ファンであるくるみちゃん、ノリノリでした♪
 女優松下京子さんもシンガー&ソンライターの中村友美ちゃんも駆けつけてくれた。
 田野のファーストアルバムで多くの写真を提供してくれた高橋さんは、最近は歌のお兄(爺)さん♪
 
 5月の手風琴LIVEは欠席だった深野さんもいつもの場所に♪体調を崩されていたのでホッとしました。
 カバー曲コーナーで深野さんの歌を歌うってのは、お客様の耳も肥えているのでスゲーぷれっちゃでした。
 でも大好きな「京都で逢った人」を歌いたくて聴いて欲しくて、今回敢えて挑戦してみました(汗)。

 作詞家の内田りまさんはこの日は洋装で。みっきー中山ご夫妻も久しぶり♪
 ペンギンハウス時代から応援してくれていたSnowさんは、その頃の彼女の歳の娘さんとご一緒。
 奇聞屋での初LIVEの時、レポーターはSnowさんでした。最後の奇聞屋LIVEも彼女にお願いしました♪


 【エピソード】

  15年以上に渡り、歌い紡いできた「奇聞屋」さん。
  その大半は with Jose有海さんでのステージだった。
  また音響はグラミー賞エンジニアの加藤さん。
  考えてみると。凄く贅沢な環境で長くLIVEを紡いで来たんですね。

  でもその積み重ねは伊達じゃない。
  今回は今の環境では、Joseさんとリハーサルをして仕上げる時間が作れない。
  自分自身のリハーサルさえ場所と時間が確保出来ない。
  でもそれは来て下さるお客様には関係のない事でした。

  自分は千葉で「詩音」というLIVEハウスと出会い、平日のオープンマイクDayに飛び行って、
  ほぼ本番環境の中でリハーサルを重ねました。これはお金を払ってのステージ。
  しかも必ずお客様のいない早い時間帯に行ないました。
  お陰で今回は何とか仕上げる事が出来たように思います。

  Joseさんとは、幾多のステージをこなしてきた場数と積み上げた曲達があります。
  今回は田野の代表曲達を集め、当日の本番前のリハーサルのみで臨みました。
  しかも1年4ヶ月ぶりであのクオリティー♪長くやって来た積み重ねは伊達じゃなかった。
  そしてやっぱり「Joseやん、半端ない~!」

  加藤さんは長くやってくれた中で、奇聞屋の機材に命を吹き込んでいました。
  機材の不具合箇所を指摘してメンテを促し、あの機材とあのハコのコーディネートを極め、
  機材の持つポテンシャルを最大限に引き出し、田野の声やLIVE特性を熟知してそれに被せる♪
  当日は所用で初めて不在でしたが、アドバイスもあり、一部で卓に座ったJoseさんと
  二部で卓に座った山田店長も、元々心得もあるので良い音を紡いでくれました。
  田野は感じていました。「ここに居ずして、加藤さんはLIVEに参加していた」とね。

  実はこのLIVEの前、9月中旬に母親が亡くなりました。
  葬儀やら手続やらでてんやわんやでしたが、今日納骨を終えました。
  田野は遂に一度も母親に自分の音楽を聞かせる事はありませんでした(父親にもですが)。
  高校の頃、音楽を始めた自分を両親は忌み嫌っていましたから。

  お嬢さん育ちだった母親には、昔から人として許せない部分が多々あり、それを長く引きづりました。
  でもここ2~3年ですが、末期は人への思いやりや感謝を口にする事が(初めてですが 笑)ありましたので、
  亡くなった時、全てを許せている自分に気付きました。
  そうなってみると、歌が好きだった母に一度くらい自分の作った音楽を聞かせてもよかったかなぁと…
  まぁ何時だって後悔先に立たずですが(笑)。 このLIVEは良い供養にもなったかなぁ・・・


 【アンケート】

 今回のアンケート一番人気は、ダントツで新曲の「輝きつづけて」でした。
 二部の曲達は皆さんにも馴染みと想い出がある分ご好評を戴きましたが、余計際立ったようです。
 アンコール曲も割とお気に召して戴けたようでよかったぁ。
 初めて聞く一部の昔の曲をアンケートしてくれた方もいらっしゃいました。
 ありがとうございました。

 皆さんの奇聞屋さんへのメッセージを少しご紹介します♪
 「娘にとっては田野さんLIVE=奇聞屋さん。いつか一緒にお酒を飲みながら酔い潰れたかった。」
 「竹を基調とした温かい照明が落ち着いていて好きでした。」
 「山田店長ありがとう(=いつも酔っぱらってすみません 笑)」
 「通い始めた頃の自分の心象風景を思い出します。いつもそこにいて下さってありがとうございました。」
 「ゲスト出演もさせて戴き、お世話になりました。なくなるのは寂しいです。田中先生にもよろしく。」
 「奇聞屋さんでの田野さんLIVEには沢山の想い出があります。山田店長ありがとうございました。」 等々

 【所感】

  淋しいです。
  でもある意味育ててもらった奇聞屋さん!
  自分のキャリアとして、このハコの事は胸を張って語り継いで行きます!

  環境激変でLIVEをやれなくなっていた自分に、
  「田野。俺、いなくなっちゃうよ!最後にもう一回やってくんないかい?」
  奇聞屋はそう背中を押してくれたんだ。そして無理しようが何だろうが田野はステージにいた。
  お客様は忘れずに満員になってくれ、精一杯の拍手を送ってくれた。
  奇聞屋は田野を、谷間の端境期に身を挺してステージに立たせてくれ、その歴史に幕を降ろす…

  終演後、自分の立ち位置から店内や、普段は背中を向けているステージの後ろ側まで、
  隈なく見回してみました。「こうなっていたんだ」「ああ、こうだったんだ」等々
  淋しいよ、戦友。でも俺、君に恥ずことなきよう精一杯やったよ。精一杯歌ったよ。
  見守ってくれて本当にありがとう!

  湧き出る思いは「さようなら」よりも、やはり「ありがとう」でした。
  奇聞屋さん、山田店長、永い間お疲れ様でした。
  そして最後の最後に、笑顔で「さようなら」(^-^)/


                                 田野ユタカ