profile Gallery Song List Link BBS Diary Q&A Home


田野ユタカのLIVE後記-92


田野ユタカ LIVE ツアー2022 千葉

“だから海に来た”


於:千葉中央“詩 音”
2022年9月23日(金)

出演:田野ユタカ with Jose有海



 【千葉 詩音】

 音楽とは対角線のもう一つの人生の核であるスーツ生活の締め括りに選んだ地"千葉"。
 若い頃に教育出向という形でこの地に一度転勤し、3年間暮らし、多くの事を学んだ。
 その後のビジネスマン生活に多大な影響をもたらし、
 幾多の苦難の末ながらも完膚なきまでに成功事例を積み上げ続け、
 仕事人としてその原点であった千葉。ここで家族を持ち、ここで人として成長させてもらった。
 もちろんその間、音楽を紡ぎ続けても来れた。
 この愛おしい千葉で3年余、営業本部長の重責を仰せつかり、心血注いで向き合い取り組んだ。
 不器用ながら正直でピュアな部下達と共に既成概念をぶっ飛ばし、話し込み、悩み考え、
 気が付けば3年で素晴らしい業績を上げていた。そして自分も皆も大きく成長した。

 千葉生活の後半はコロナに苛まれ、付き合いも思うように出来なかったが、
 "詩音"というLIVEスペースと出会い、よく晩飯を食いがてらに顔を出していた。
 Open Mikeの日があり、早い時間にお客様がいなければギターを借りて歌わせて頂いた。
 チーフの内山さんの作る音はこの店を知り尽くしているだけに、とても気持ちいい。
 単身赴任で環境が変わり、稲毛のマンションで楽器の音出しが躊躇われる中、
 ここで現場感と集中力、緊張感を紡げた事でLIVEにブランク感を作らず音楽を繋げたのだ。
 そうこうしながらチーフの内山さんとここでのLIVEを模索し始めた頃、
 世はコロナ渦となって詩音も店を閉めざるを得なくなったんだ。

 仕事を早期に退任したのには幾つかの理由があった。
 ・家庭の事情・・・
  コロナで電車に怖くて乗れなくなり、永く通った福祉作業所に行けなくなった長女の送迎。
 ・健康不安・・・
  人間ドックで見つかった、いずれ手術が必要な循環器系疾患を抱えた健康不安。
 ・人としての理由・・・
  物事の本質とずれた組織のぬるま湯発想と自己保身を正当化した販社統合結論への明確なNo。

 周囲は勿体ないとか馬鹿だね損だねと言ってくれたが、でも若い頃からそんな事の連続だった(笑)
 自分は歌を作り歌っている。自分は生き方が小賢しい奴の作る歌なんか聴きたくない。
 これまで支えてくれたお客様達を生き方で裏切ることは出来ない。昔からそう思っていた。
 作った歌に相反し、歌に説得力をなくすようなみっともない生き方は、例え人は気づかずとも、
 自分で自分が許せない。らしく・・・とはそういう事だろう。

 早期に退任した分、コロナでLIVEも出来ない中で新しいAlbumを作る事が出来た。
 5月のレコ発LIVE迄はそれこそ無我夢中で走った。
 暫し燃え尽き症候群だった田野が、少し時間を置いて次の目標にしたのが
 千葉"詩音"への恩返しと、果たせていなかったここでのLIVE開催だった。


 【LIVE】
 濃いリハーサルを経て、万難を配してJose有海氏を伴い、一部からTopギアで♪
 「想い出が重たすぎて」「瞼に夏を焼きつけて」「China China China」とご披露。
 内山さんの作る音が心地よい♪
 「Dear Mermaid」「ガラスのマドンナ」「十二単」と代表作を紡ぐ。
 一部終盤は「オブラート」。そして「主のない部屋」と歌わせて頂きました。

 二部前半はギター1本での弾き語りで構成。
 「ブルース色の雨に濡れてる」「月の灯かり」「京都・紅」と紡ぎました。
 何れもJoseさんとのバージョンもあるのを敢えて一人語りでしっとりと。
 ここで新曲の「君の未来を占うならば」をご披露。
 このLIVEにターゲティングして作った最新曲。概ね好評のようでホッと一息(笑)

 さてさて、終盤戦は再びのJose有海氏登場。
 今年作った曲の中から「鎌倉如月日向道」で軽快に入ります。
 ここで静かな青い炎のように「nude」を歌い上げる。
 次いで「ジェッダの風」で重厚にたたみ掛け、
 LastにはJoseさんとの二人バージョンでは初となる「音楽のチカラ」を配しました。
 二人でしっかり作り込んだ1曲。如何でしたでしょうか?

 アンコールには今や定番の「芝居仕掛」をガツン。
 そして再び一人で「鏡の中の東京タワー」で締め括りました。
 楽しい音楽の時間でした♪ありがとう(^-^)v


 【お客様】

 千葉でのLIVEとなるとお運び頂けるお客様も限られますが、
 千葉だから来れる方もいらっしゃいます。
 嬉しかったのは、福岡LIVE時にファンになって頂いたマダムことTさん。
 巡り巡って今は娘さんが暮らす千葉に在住されており、お友達と介護の方も伴ってご来場。
 周囲の方もすぐ溶け込ませて楽しめるようにしてしまうお人柄は相変わらずです。
 Tさんがいらっしゃるならと、愛知県からMさんも駆けつけてくれました。
 レコ発時に入院していたHさんも来てくれました。大病を経ても美貌は変わらない(^_-)
 最年少ファンのKちゃんも来てくれました。根本さんも駆けつけ、写真を撮ってくれました。
 太陽俱楽部レコーディングの加藤さんが普通にいるのがスゴイ(笑)。よく考えたらFrom川崎!
 今回のLIVEレポーターのYさんもFrom川崎!IKさんコンビは各々横浜や茨城から!
 本当に有難いです(^-^)v

 しがらみが無くなったとはいえ、仕事関係や元部下達に声を掛けるのは躊躇われました。
 声を掛ければ満席にする事は可能でしょうが、OBのパワハラにもなりかねません(笑)。
 そこは頼らずにプロモートしましたが、でもせっかく千葉でやるのだから
 一部の子にはこっそり声掛けし、嬉しい懐かしい顔が数名。
 スーツ姿しか知らない元専務がいきなり歌うのを見て、後ろの方でドン引きしてたのが笑えた♪
 遥か昔の若き教育出向時にOLさんだったHさんが、次男君と来てくれたのも嬉しかった。

 結局詩音LIVEも密にならないギリギリで満員になりました。嬉しかったです。
 ありがとうございました♪


 【所感】
  学生の頃千葉の鵜原海岸に大学の寮があり、サークルの合宿でバイクで訪れた。
  合宿最終日から雨が降り、雨具の用意がなかった田野は雨が止むまで一人足止めを食った。
  3日目の昼過ぎに雨がやみ、翌日に帰る事を決め、夕暮れ前に海岸を散歩すると
  海が沖の方から青さを取り戻して行く不思議な光景に釘付けとなった。
  この時作った曲が「だから海に来た」である。今回プログラムでは歌わなかったが、
  千葉には要所要所で様々な想い出がある。
  
  教育出向を終えて東京に戻った年の夏、在職中に知り合った青年会議所の方に
  千葉親子三大祭りの野外ステージの構成を相談され、当時定期出演してた江古田マーキーの
  U社長に相談して、かまやつひろしさんとガロのトミーさんをアポイントして出て頂き、
  その前座で田野もBandで出演している。まだParcoがあった頃の千葉中央公園でだ♪
  深野さんやJoseさんとも出会う前の話し。懐かしい。どれもキラキラした想い出だ。

  その千葉で時を経てLIVEが出来た事を一つの区切りとし、
  このLIVE後に経過観察中だった循環器系の精密検査を受けた。
  その結果、11月に手術を受ける事が決まってしまい、その後の八ヶ岳での企画LIVEと、
  地元阿佐ヶ谷でのLIVEの予定をキャンセルせざるを得なくなった。
  これまで決まっていたLIVEはどんなことがあっても務めて来た。自ら降りたのは人生初だ。
  無論また健康になり、ライフワークである音楽を紡いでいく為にも手術は避けられぬ選択肢だ。

  自分なりに精一杯走り抜けて来たつもり。
  でもこの千葉LIVE迄で一旦立ち止まり、未来に向けての物語の続きを見据えて
  再び身体をメンテナンスしますね。
  皆さんと紡いできた音楽の時間、「音楽のチカラ」を信じて
  またお会い出来る日までどうかお元気で(^-^)/


                                 田野ユタカ