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田野ユタカのLIVE後記-94
田野ユタカ LIVE '23 秋
“つれづれ独り語り@阿佐ヶ谷harness♪”
2023年9月23日(土)
於:阿佐ヶ谷“harness”
出演:田野ユタカ
【一年越しの@harness出演】 昨年秋にLIVEを組んで戴いた地元阿佐ヶ谷のAcoustic LIVE Bar“harness”さん。 告知する前に心臓の手術と療養時期と重なった為、出演を延期して戴いた経緯があった。 コロナ後にLIVE活動を再開し、レコ発も絡んでBandも含めた昨年の活動の締めを アコースティックG1本で締め括る積もりだったが・・・幻のLIVEだった。 ここはシンガー&ソングライターの鎌田ひろゆきさんがオーナーのLIVEスペース ご縁で鎌田さんのLIVEには何度かお邪魔した。 インパクトのある曲と個性的な声で存在感あるアーティストさんだ。 BandでのLIVEが主戦軸のようで、Bandの時はMANDALAⅡあたりでやっている。 そう、Acoustic LIVEを前面に出すこの店はこじんまりとコンパクトなお店。 ちょっと客席数は少ないが、レコ発や遠征が続いた昨年を締め括るのに 落ち着いていて丁度いいかとも思い組ませて戴いていた。 しかし昨年は自身の手術が急転直下で決まってしまい、締め括る事が出来なかった(;^ω^) harnessさんへの出演は何だかんだで一年越しにやっと実現した独り語りの舞台だった。 【この夏の出来事】~佐藤房夫さんご逝去~ 皆さんにも比較的にお馴染みの田野の盟友佐藤房夫さんが亡くなった。 学生時代に出会い、高校時代は互いに曲を作って歌ってた事をから直ぐ意気投合。 「葵」というデュオを組んで大学在学中は幾度かLIVEを開催した。 2019年のLIVE会場直前変更と台風で電車が止まったあのふくろうStudio LIVEでは、 40年ぶりにユニットを復活させた。 田野のLIVEにもよく来てくれたあの佐藤房夫さんがだ。 昨秋に肺がんで手術を受け、放射線治療を頑張っていたけど、7/8未明に力尽きた。 彼の作る曲の感性には大いに影響を受けた。 その素直でシンプルな詞。スッと入って来る繊細なメロディー。 互いの人生を赤裸々に語り合い、曲にして深い相互理解の上でハーモニーを紡いだ。 彼の最期を3人の息子さん達と共に看取った。嘘だろ房夫。これからだろ、おい。 喪失感が酷かった。通夜は呆然と…涙が溢れたのは告別式の読経中に突然だった。 後日息子さん達から形見分けとして房夫の作詞ノートを渡してもらった。 学生時代に彼が使っていた見覚えのあるそのノートに懐かしい作品群がある。 そう、社会人になった頃、LIVEを続けて行く決心をした自分のレパートリー群に、 このまま埋もれさせるには勿体な過ぎる彼の名曲5選に自分の詞を嵌め込み、 共作として永くLIVEで歌い紡いで来た。 今回はどうしても供養で彼の曲を歌いたい。 そしてノートに見つけた大好きだった彼の幻の名曲に補作詞作曲を施し、 40年越しに新曲として披露させて戴いた。 房夫。三途の川の手前で今日を待っててくれたんだろ? 聞こえるか?俺、歌うからよ。お前の曲達をこれからも。 それがこの夏の大きな哀しい出来事だった。今回のLIVEは供養の側面もあった。 【構成】 季節感を大事に、前のLIVEとあまり被らいないように… でも、今回は佐藤房夫さんの曲をどうしても多めに歌いたい。 ~ 一部 ~ ①「モノクローム」 葉山サンセットや刹那の夏等と共に田野風湘南サウンド(笑)の一角を成していた曲。 茅ヶ崎でウインドサーフィンに夢中だった20代後半時の曲だ。 Pacific hotelがまだあった頃だ。 ②「Dear Mermaid」 夏の終わりには欠かせない定番曲。来夏まで大切に引き出しに仕舞っておきますかね。 ③「夏色のドレスで」 ああ、この頃作った曲達って愛おしいなぁ。 ④「しょうこ まい らぶ」 19才の頃に京都で書いた曲。葵では定番曲だった。葵時代のラインナップをこの曲から。 ⑤「夕暮れ」 佐藤房夫さんとユニット葵を組んでいた頃の曲。 いい曲なので長く歌いたいと自分の詞をはめ込んだ代表作。この曲は前回も歌ったっけ。 でも40年以上を経た今も古さを感じさせずにいい曲との評判、嬉しかった。 ⑥「月の灯かり」 29日に控えた中秋の名月を前に少々シャウト♪ ⑦「ブルース色の雨に濡れてる」 一部ラストは思い入れの強いこの曲で。年月が経つほど沁みて来る不思議な曲。 声が出てくれている。ホッとしました。 ~ 二部 ~ ①「十二単」 二部の頭に配するのは初めてかな。いきなりの淫靡の世界へ。和のtasteへ流れを作る。 ②「古都」 佐藤房夫さんと初めて共作で作った曲。作詞が田野で作曲が佐藤房夫さん。 京都の曲はその後多く作ったが、正にこれが最初に作った京都曲の原点。18才だった。 ③「帰郷」 古都と同じ頃、作詞の体や尺ではないエッセイ風のメモ書きに 佐藤房夫さんがみるみると曲を付けていった共作の2作目。 珠に作る譜割に縛られない歌い回しの曲はこの曲で覚えた手法かもしれません。 歌うと遠い夏の記憶が鮮明に生々しく蘇ります。 ④「えぴろおぐ」 元々佐藤房夫さんの「エピローグ」という原曲があり、 あまりにもいい曲なので、田野が田野の心象風景で詞をはめて、 永く歌い紡いで来た曲。十代の頃は稚拙だったなりに切ない恋にもがいていたっけな。 ⑤「Kのバラード」~New~ 40年もの時を経て甦らせた、古いノートに残っていた佐藤房夫さんの名曲。 この曲が佐藤房夫さんの作品の中でもしかしたら一番好きかもしれない。 房夫さんの実体験で美大生だった当時の恋人との日々と別れを綴った曲。 譜面はないし、ノートに綴られている詞はLIVEで少しずつ進化していった。 記憶をフルに呼び覚まし、入魂の補作詞と補作曲を施して甦らせ、 田野のオリジナル群に初めて作詞も作曲も本人でない曲としてラインナップしてみた。 それは自分の新曲を作る以上に労力と時間を掛け、丁寧に丁寧に… こんなにも長い時間を経たこの作品がお客様の心を捉えてくれたのが本当に嬉しい。 そして涙が出た。 ⑥「背中合わせ」 永く田野のLIVEで終盤を彩ってくれたこの曲も佐藤房夫さんの原曲作品。 この日は房夫に届けと、お客様に久し振りに手拍子をお願いした。 この曲を好きと言って下さる方は多い。房夫~!そうなんだぞ~! ⑦「Negura Far Away」 終盤の畳みかけは今日はこの曲で。 八ヶ岳の重鎮Rock Band "デンプシーロール"が最近カバーしてくれているのが嬉しい。 ⑧「輝き続けて」 今回のLastソングは考え抜いた末にこの曲をセレクト。 実は4th Album構想時、最初はこの曲をLastとAlbumタイトルに仮置きしていた。 書き下ろしの新曲を最期まで模索し、ギリギリで「音楽のチカラ」が出来て入れ替わった。 ある意味「音楽のチカラ」という曲を引き出してくれたような役割も担った作品だが、 改めて歌ってみるとやはりこの曲も力のある渾身の作品だったと思う。 ~アンコール~ ①「鏡の中の東京タワー」 もうこの1曲で精一杯。 でもやり切れた♪歌えた。房夫~!聞こえたか~♪ 【客席】 この日のPRは難しかった。席数に限りがあるharnessさんなので大々的PRは控えた。 つれづれ独り語り。このスタイルが今は精一杯だ。 基本予約制を引いたが、当日は突発cancelと突発ご来場(笑)が錯綜し、 結果満席での開催とはなったが、来ようとして下さっていたのに 予約満席で控えて戴いた方々には本当に恐縮でした。 でも満席なのを「嬉しい」と言って下さり、救われた気持ちになりました♪ レコ発LIVE以来のサスケさんが来てくれました。 サスケさんには12/6に老舗の東中野のジミヘンでのコラボLIVEにお誘い戴いています。 地元ならではの幼馴染もご来場。照れるぜ(笑)。 亡き友佐藤房夫さんの次男ご夫婦も駆けつけてくれました。いい供養になるなぁ。 愛知からみえはるさんも長男さんと駆けつけてくれました。 オリンピックのように(笑)4年に1度来てくれたまちゃさん、お久しぶり。 二胡とピアノの母娘ユニットAzryのジャスミンさんも久し振りに来てくれました。 30年ぶりとなったYukiさんが駆けつけてくれたのにはビックリ。 最年少ファンの現役JCくるみちゃんも来てくれた。ありがとね~♪ 永くやらせてもらうと時代時代に支えてくれた多くの方々がいる事を痛感します。 アンケートを取りませんでしたが、「モノクローム」「輝き続けて」「背中合わせ」 「Negura Far Away」「ブルース色の雨に濡れてる」… そして「Kのバラード」がご好評を戴けたようです。嬉しいネ♪ 【所感】 前回よりも更に声が出ていたよ…お客様からそうお声がけ頂きました。 不安の中で手探りだった前回。猛暑の夏をひたすらリハに費やして備えた今回。 達成感を味わえたが、大きなハコで思い切り皆さんを呼んで、 快気した自分をBandも絡めて見て貰いたいとも正直思う。 だけど思い上がってもいけない。激しい動きはお医者さんに止められている。 歌えるだけで充分幸福なのだ。小さいハコで地道に謙虚に歌い紡ぐ事もまた幸福。 もう歌えない盟友佐藤房夫さん。 一緒に飲み歩く事もギターを持って昔のように車で旅をする事も叶わない。 失ったものの尊さを知り、今の自分に出来る事に誠実に…そんな風に思います。 暫くは地味にLIVEを紡ぎます。またここでLIVEをご案内致しますネ! ありがとうございました♪どうかまた音楽でお逢いしましょうネ(^-^)/ 田野ユタカ |