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田野の日本紀行−2

初めての北海道−編(後編)


 ☆(♂1+♀3)+♂2=(♂1+♀3)?…machibito kitarazu!


 合流する筈の洞爺湖に行けなかった仲間達もまた、迷った末に新冠まで辿り着き、
 牧場の傍の川のほとりに車を停め、野宿して翌日の新冠YHで合流しようと考えたのです。
 彼等は持っていた飯盒で川の水を沸かし、カップラーメンで晩飯を済ませたそうですが…
 その夜から二日二晩、激しい下痢と高熱で、川原に停めた車を病床に…川を天然厠として、
 死ぬ思いで闘病生活をしていた…というのが後日談。
 そんな事は知る由も無く、我々は呆然、愕然として新冠を後にします。
 残りの日々、田野一人と後輩三人娘という、
 なんともアンバランスな取り合わせで旅を続ける事となったのです。
 この頃、田野には自然と身につけた確たる哲学(ノウハウ?)がありました。「愛情は平等に…」


 ☆(♂1+♀3)→siraoi〜sikotuko〜sapporo

 腹を括った珍道中は、白老(今思えばJoseの実家だぁ)のアイヌ村から支笏湖へ…。
 「湖でボートに乗ろう!」…ボートって…定員3名?知ってた?じゃあ、2艘借りよう…。
 あ、女の子2人のボートが出来ちゃうね?湖の上でボートからボートに乗り移り、平等平等!
 つ、疲れる〜!泊まった支笏湖畔の宿では、また小さな出来事がありました。
 
T子に小さな出会いがあり、仄かな恋に落ちます。相手はいい感じの好青年でした。
 でも明日の朝にはお別れです。あまりにも時間がなさすぎる。切なさにT子は涙が止まらない。
 消灯時間を過ぎていましたが、T子と星空の湖畔で話をします。恋は理屈ではないんだよネ!
 「彼と一緒に行きたい?住所を聞いて、旅を終えてから連絡取り合って会う?選んでいいよ…
 お母さんにはうまく言ってあげるし…」 他の2人も心配そうに遠くから見守ります。
 どうしていいか解からず、T子はただ泣くばかりで夜が更けて行きます。切ないね?旅の重さだね?
 でも翌朝、彼とどうゆう約束をしたかは知りませんが、T子は我々と一緒に札幌に向う道を選びました。

     

 ☆(♂1+♀3)→sapporo♀1=???

 札幌に着くと、時計台近くのホテルにチェックイン。なぜかみんな都会モードにONします。
 女性陣は薄っすら化粧を施し、ありゃ?キレイやね?田野もちょっとアーバンカジュアル(?)に…。
 田野は、札幌でどうしても会いたい人がいました。
 その年の春に、京都でお世話になったS子さんという方で、本来なら仲間2人が一緒で、
 ドサクサに少し抜けても大丈夫だと思ってましたが…抜け難い!じゃあ5人でお話?なんか違う。
 電話すると、S子さんはホテルまで来てくれる事になり、待っている間に田野は
 彼女達に不器用に説明をし、別行動の許可を取りつけます。
 Y子は?ブータレちゃん…T子は?スネ子ちゃん…。H子が仲を取り持ってくれます。
 「札幌では買い物がしたかったから、田野さん女の子の買い物付き合うの、嫌でしょ?
 丁度いいです!」 お〜、サンキュ!大人ぁ〜!
 間もなくホテルに現れたS子さんに皆を紹介し、出掛ける際にH子が耳元で囁きます。
 「晩御飯も食べて来ていいよ!時間になったら適当に食べに行くから…ゆっくりして来てね!」
 いい子だなぁ!ありがと…て、え?笑顔…じゃなくて、泣き顔???


 ☆(♂1+♀3)→otaru〜shakotan〜hakodate

 田野は、結局晩御飯前に帰って来ました。
 そして、S子さんに教えてもらった「美味しい店」の中から「石狩鍋」が安くて評判の店を目指し、
 夜のススキノへ娘3人を引き連れて繰り出しました。美味しかったぁ〜!
 T子とY子が元気なのに、今度は何故かH子がべそかきさんです。
 悪い先輩だね?見知らぬ土地で不安だったよね?無理させたね?ごめんごめん!
 翌日は小樽から積丹をドライブ。
 グラスボートで海中の美味しそうなウニやら魚介類を見せつけられ、腹減ったぁ〜!
 小樽で昼飯!んまい〜!その内、我々はもう家族のような感覚でした。
 果てしなく旅がこの先ずっと続いて行くかのような錯覚が全員にありました。
 でも旅は終盤戦です。再び函館から、今度こそは…の青函連絡船に乗る日を迎えます。


 ☆(♂1+♀3)→towadako

 沢山の思い出を残して北海道を出航後、口数も少なくなります。そして船は青森港。
 そこから我々は神話の湖「十和田湖」に向います。
 湖畔の高村光太郎の「乙女の像」やブナの原生林を散策して、ふと「ボートに乗ろうか?」
 おっと今度は一艘を借りて強引に4人で乗り込むぜ!ボート屋の親爺が何か言ってる?
 無視無視。田野さん漕ぐ漕ぐ!巡視艇?じゃない…クルーザーが近寄って来る。
 「お!一人で女の子3人も乗せてるからどんな奴かと思ったら、いい男だよ!」
 バブリーなおっさんがお水風の姉ちゃんに言います。
 「うるせ〜!」 「ボートは4人乗ったらあぶねえぞ!」「大きなお世話だい!」
  2艘に分ける方が不自然なんじゃ!銭にモノ言わせて姉ちゃん一人ようやく誘ったか知らねえが、
 こっちは金はねえけど乗ってる子達はグレード高いんじゃ!
 色々な人々にアリガタイ御忠告を頂きつつ、何を言われても4人乗りのボートは
 時間一杯まで湖上を漂いました。「これでいいの!この旅は!」


 ☆(♂1+♀3)→hanamaki〜tokyo

 十和田から角館、八幡平を越えて盛岡から小岩井農場、そして花巻温泉郷。
 旅の最後の夜です。ゆーっくり足を伸ばせる大きな温泉!ちょっとしんみりした最後の夕餉。
 T子「明日帰るなんて信じられない」みんなの気持ちを代表してるね?
 ハプニングだらけで、予定が大きく狂ったけど…3人娘を一人でエスコートするのは大変で、
 もう勘弁…って思ったけど…すごく思い出になった。楽しかった。ありがとう。
 「明日は長距離運転するからいつもより早めに起こしてね!」「はぁ〜い!」
 果たして翌朝は…寝起き急襲集団布団蒸しの刑!
 「まいったぁ〜。起きました。完全に起きましたぁ!」 でもちょっと朝風呂へ…
 「背中流しましょうか?」「いい!いらない!」オチョクッテル?

 車は東北道の那須でスコールに見まわれながらも無事東京へ…。
 長い不思議な旅が終わりました。東京に帰って何日か後、
 3人娘が車を洗うのを賑やかに手伝いに来てくれましたが、
 秋に学生生活に戻ると、彼女達とは学内ですれ違って挨拶する以外は、
 田野のコンサートに顔を出してくれるくらいでした。それぞれが自分達の道を歩き始め、
 それぞれの居場所、それぞれの仲間達との日々に学生時代を費やします。
 その後さしたる交流もないまま田野は卒業して行きました。彼女達とは音信も絶えています。

 その後、仕事でもプライベートでも何度も北海道を訪れましたが、
 有珠山が24年振りに噴火した今年、ふとこの旅を懐かしく思い出しました。
 なんだかんだ言っても…いい思い出だな!彼女達はどうしてるかな?
 皆いい恋をして、素敵なお母さんにでもなってるといいな!
 田野先輩が今も歌ってるって知ったら、喜んでくれるかな(^^)/ 
 おっと…先発隊の二人は…あまり楽しい旅ではなかったかな?
 いや、それはそれで思い出だよね!その内の一人は誰あろう佐藤房夫さんです!
 「房夫!あの時の旅、覚えてるぅ?来なかった罰でおごれよ!」
 「俺達が苦しんでる間にお前は…俺はあの時、
 北海道回ってる間にスピード違反やら駐禁やらで捕まって、
 帰って来たら免停になってたんだぞぉ!」「ひ、ひえ〜!」

おしまい