田野と四万十川の話−8
屋形船 編
四万十川の魅力の一つに、下流域の綺麗さがあります。多くの河川は、
上流は綺麗でも下流が汚い場合が多いですよね?天然に近い川の下流の
自然や景観というものは、こういうものなのかと感心します。
そんな四万十川だからこその生業として、
屋形船での川遊びは成り立っています。
四万十川は、東津野村の山深く涌き出た湧水が川となり、
上流域をもまれて窪川の山間で大きく右へカーブして大正町、昭和村と
中流域を流れ、西土佐村で今度は大きく左にカーブすると、
海のある中村市を目指して雄大な下流域を形成します。
この西土佐村から中村市に至る部分が最も四万十川らしいと言われ、
穏やかで雄大な景観が広がります。西土佐村から中村市に入っても、
しばらくは人里の気配はありませんが、
屋形船の船宿が点在するのはこのあたりです。
TVにもよく登場する船宿「なっとく」さんは、
四万十川の屋形船の老舗として有名です。
「止心庵編」でお世話になった奥様のご紹介で知り合いました。
ご主人が田野の「四万十川♪」をとても気に入ってくれて、
以前プレゼントしたテープをたまに船上でかけてくれているようです。
昨年も顔を出したら、相変わらずの素敵な笑顔を見せてくれました。
船は天然地形を利用した川岸の竹林の先から出ます。
貸切で贅沢な四万十川の川遊びを今日はご一緒に…
真夏でも川面は涼しく、クーラーを効かせるよりも
窓からの川風を取り込んで楽しみたいですね?
船着場には、漁で獲れた四万十川の川の幸が、
正に天然の生簀でキープされていて、
ちょっとした四万十川水族館という感じです。
まずは上流へ…川岸は自然が阻んで人が入れないような所が
まだたくさんあって、手つかずの天然に近い景観が楽しめます。
船でないと行けない所や見れない景色を楽しむ…民家も殆ど見えず、
左右を雄大な山々に囲まれ、隠れ家としては他地域の屋形船にはない
最高のロケーションです。「遥か遠い山里♪」です。
深い淵や流れの速い瀬が、一つの風景のそこここに見られます。
大河「四万十川」を思いっきり体感です!
川中の中洲に船を着けて降りてみます。
泳いでここまで来るのはちょっと辛いだろうな…船ならではです。
中洲では川の流れる音しか聞こえません。
人工的な景色も音もゴミも全くない…いいもんですね!
川の生き物達が周辺に数多く確認できます。川の石の裏側には、
魚達が好む川虫がたくさんついています。
川漁師達が仕掛けたころばしや蟹獲りの仕掛けが隠れています。
この辺りは下流ですが、6〜7月の夜には蛍の乱舞が見られるそうです。
すごいだろうなぁ…見てみたいなぁ…贅沢ですよね?
天然の蛍の乱舞を一人占めで見られるんですよ!
蛍が棲息できるなんて…やはり水が綺麗なんだよなぁ…。
中洲を離れると、しばらくは川の流れに乗って漂うように下ります。
障子窓を開けると、川面がすぐです。手を出して、
水を切る感覚を楽しみます。気持ちいい〜!
カヌーの連中が水の上を滑るように追い抜いて行きます。
手を振って挨拶を交わすのも、自然と身についた四万十流です。
四万十川の名物で、風光明媚な景観を演出する「沈下橋」の、
その中でも最も美しいと言われる「佐田の沈下橋」をくぐります。
橋を見上げると…げ!スズメ蜂の巣だ!こ、こえ〜!
上流で襲われた事があるからビビリましたが…
でも現役天然生スズメ蜂の巣って…綺麗なもんだなぁ…芸術だね!
朝な夕なに、豊かに表情を変える沈下橋…。
大河四万十川と相俟って、癒しと和みの風景です。
あらかじめ予約しておけば、もちろん料理も楽しめますが、
あまり頼むと食べるのに忙しくて景観を楽しむ余裕がなくなります。
お奨めなのは…?「ゴリの唐揚」「手長海老の唐揚」程度のお手軽メニュー♪
美味しいです!冷えたビールでクイッ!たまんね〜!
「景色より食い物ぉ〜!」という方には「天然鮎の塩焼き」なり
「天然鰻の蒲焼」なり「モズク蟹汁」等などを、タンと召し上がれ!
東京湾あたりの屋形船とは楽しみ方がハッキリ違う気がします。
飲むぞ=仲間達となら東京湾!ほろ酔い=ご親密な二人なら四万十川♪
でもいちゃつくのは無粋というもの。
寄り添いながらも言葉少なに「まずこの世界観を楽しめよ♪」
夕方には川漁師達が投網を打っている姿が、
夕暮れの中にシルエットで浮かぶ光景や、
川岸には遊び疲れた子供達が走りながら家路を辿る姿などが見れます。
川と同じ目線で見る風景には郷愁が漂い、えもいわれぬ懐かしさで
胸が一杯になります。冬の雪景色の時なんかも風情が香るだろうなぁ。
いいですよ、四万十川の屋形船川遊び!ちょっと贅沢な、大人の時間♪
誰もが風流人になっちゃいますね。
こんな楽しみ方もあるから、飽きる事がありません!
四万十川、大好き!
おしまい
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