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つれづれ日記−13

リフレッシュ休暇 編

 −小さな卒業♪−
 05年3月。有給休暇は取るものの、これまで25年間、夢中で働き続けて来た会社。
 会社というもの。それはやはり日々の糧を得る為の一つの手段であるが、同時にそれは
 自己表現の場でもあったように思う。更に田野の場合は音楽を続ける為の礎でもあった。

 田野のスタンスで会社生活を続けるには、これまでも幾つかのターニングポイントがあったが、
 最近は年令的にもかつてない難しい領域に差し掛かりつつあるように感じていた。
 損とか得ではない。とにかく永年慣れ親しみ、存分に業績を上げた仕事の分野を、
 この際思い切って卒業してみる事にした。新しい分野への挑戦は容易ではないが、
 業績がよくなった分野に居座って君臨し、チマチマいい目を見て褪せていくよりも
 次の業績の悪い別の分野を立て直していく方が田野の性に合っているようにも思えた。
 まぁ、んな堅い話はこれっくらい!

 そして・・・だからこそ可能になったのが「リフレッシュ休暇」の権利行使なのだぁ〜♪ムフ♪
 小さな夢だったんだ。混んでいる上り電車で通勤する時に、ふっと過ぎる夢・・・
 空いている下り電車に乗る・・・その下り電車は海か山に続いているに違いないって!
 もし皆さんが3週間の休みと多少のお小遣いをもらえるとしたら、どうします?何しますぅ〜?


 −サイパン♪−
  
 そのファ-ストステージは・・・北マリアナ諸島連邦国のサイパン♪
 沖縄には何度も行って堪能したアイランドリゾートも、海外では実は初めてでした。
 昔はウインドサーフィンだスクーバダイビングだクルージングだと、目一杯マリンスポーツしたものですが、
 今回のコンセプトはズバリ「まったりだらだら」!とにかくのぉ〜んびりしたかったぁ!

 寒かった3月初旬の朝、車で成田空港へ到着。NW機に搭乗。
 仕事では航空運輸を支える作業車拡販で再三通った成田から、客として久々のフライトだ。
 4時間もかからず、常夏のサイパンだ。機内でセーターを脱げば、もうリゾートモード!
 果たしてサイパンは・・・やっぱ暑ぅ〜!でも期待通りの島、空、そして海だった♪
 宿は中堅のサイパングランドホテルをセレクト。でもこれが田野的にはよかった!
 外資の匂いがしない、地元の素朴運営な空気がいい。従業員も地元の人ばかりだ。

 初日は心地よい夕暮れの浜辺でビーチバーベキューディナー・・・これは想像以上によかった。
 こんなに優雅で豊かな時の中に身を置くのは何年振りだろう。弾き語りのお兄さんが、
 各テーブルを廻ってリクエストに応えていたが、加山雄三が歌えなかったのは残念(笑)!
 でも久し振りに覚えた食欲に、この日は本当によく食べた!美味しかったぁ〜!

 滞在中の朝昼晩、このホテルで3食全て賄っても飽きなかった。そこそこ美味しいし、
 一流ホテルでは有り得ない気さくさがあった。親しくなったお姉さん達は鼻歌を歌っている。
 それは全く嫌味がなく、本当に音楽が好きなんだなって感じが伝わって来る。
 朝のオープンテラスではカラフルな小鳥が囀り、遊んでいる。朝食時間もまったりゆったりだ。

 驚いたのは、サイパンには虫がいない!屋外での食事中、見たのは小さい蝿一匹のみ。
 滞在中、蚊にも蝿にも蛾にもついぞ悩まされる事がなかった。信じられる?ホントでっす!
 しかもこの時期のサイパンは乾季。暑いのにサラッとしてる。木陰のハンモックが気持ちいい♪
 海海プール、ちょいと町、またまた海海プール・・・観光もせず、ほぼこんな毎日だした。
 大型免税店Galleriaとハードロックカフェと、このカフェのノリのいいお姉さんはお気に入りだした(^^ゞ

 バナナボートに乗って島廻りをした時に見た、海の中の旧日本軍の戦車はやはりショックだった。
 予備知識はあったけど、そのあまりに旧式で貧弱な戦車。これで米軍と戦ったのか?
 切ない。時代を越えても戦火の絶えない人の世の愚かさ。サイパンの海は静かに穏やかに、
 全てを許したのに愚行を繰り返す人の世を憐れんでいるようにも感じられた。
 シュノーケリングで潜るとその戦車の残骸達が、今は様々な魚達の生命を育む漁礁になっていた。

 来てよかった。哀しい歴史とそれを乗り越えた人々の、明るく優しいオーラに包まれた島。
 また来たいな。またきっと来るよ!南の国の海に浮かぶ楽園の島「サイパン」♪


 −京都♪−
  
 学生の頃、この時期はよく京都に滞在していた。一人で夜中の東名を飛ばしてよく通った。
 その感覚自体が久し振りで嬉しい。メンタルがあっという間にあの頃に戻ってしまう。
 名神で雪に見まわれる感覚もまた懐かしい。道路状況を東京にメール連絡する。
 今回は恒例のハグ様の京都LIVEのゲスト出演を兼ねての京都行。一行より一足お先に、
 サイパンから帰国後、中2日での京都への旅立った。その中2日もリハに費やした。

 早々イノダで一服。ホテルは二条城近くに取り、寺町通りの隠れ料理屋さんで夕食。
 中庭の椿の花が鮮やかだ。そして翌日のLIVE会場であるパーカーロールハウスさんへ下見。
 フレンドリーで感じのいいスタッフ。店の広さも雰囲気も手頃だ。周辺機材や
 小物の有無を東京にメール連絡。明日はよろしく〜!

 翌日は昼頃ホテルを出て、やはりイノダでブランチ。その後パーカーロールハウスさんに直行。
 主催者であるハグ様の京都のファンの方々が既に到着。お馴染みで懐かしい顔また顔♪
 じきにご一行様も到着。怒涛のLIVEに突入。うん。やり易い。聞き易い。いい店かも♪
 そのまま同じ店で打ち上げが出来るのがいい。京都の夜は更け行くのだ!

 翌日、京都のファンの方々が、ある方とハグ様の再会をPM2:00に企画していた。
 ホテルを10時に追い出された一行を連れ、取りあえずのあぶり餅ツアー。美味&まったり。
 今宮神社を詣でて、背姿放尿観音(?)を大量に排出した後、近くの大徳寺を散策。
 久し振りの大徳寺だが、美味しい新発見が!「大徳寺納豆」「一休昆布」は、お奨めだふ!

 春まだ浅い京都の、比良の八講荒れ終いで、晴れているのに雪が舞う光景に出くわす。
 大仙院でお薄を嗜み、ありがたい国宝を拝み、説法を聞き、一行は心洗われる思いだった。
 松の参道は行く人影もまばら。奥行きのある懐深い大徳寺の特有の空気感に皆浸っている。
 んがぁ〜!ここで写真を撮ろうと、田野は一行にカメラを向け、ファインダーを覗いた瞬間、

 戦慄の光景を目撃した!全員いきなり「マツケンサンバ♪」を踊っているではないか〜!
 し、しかもマニア間では有名な、あの「マツケンサンバ棒」まで振られている〜!!!

 ハグ様はその後、昔の事務所仲間で旧友のNさんと感動の再会を果たした。小粋な計らい♪
 よく飲み歩いた方だそうな。Nさんのお店でランチの後、ツアー御一行様は東京へ帰って行った。
 昔、京都ではよくこうやって人を見送ったものだ。やはり一抹の淋しさを感じてしまう。
 その夜は花灯路を散策。年々人出が多くなってくる。でも今年には今年の味わいがある。
 しばし幻想世界に身を置き、歩く。「京都・春待♪」という曲の構想が浮かぶ。

 翌朝は、イノダで一気に新曲「京都・春待♪」を書き上げる。イノダで何曲作ったろう?
 また歌い継いでいきたいかわいい曲達が増えた。町屋風のイタ飯屋でランチ。
 タレントの市田ひろみさんと偶然隣の席だったが、京都だし違和感もない。
 騒ぐ人もなく、自然に時が流れる至福のランチタイム。この後、更にイノダでコーヒー。
 その日の夕方、京都から帰路につく。久し振りだったけど、とてもよかった。京都。


 −巣鴨LIVE♪−
 東京に戻って、次の目標は自分のLIVEだ。構成、選曲、新曲、リハ・・・慌しく過ぎる中で、
 念願だったHD付きDVDレコーダーを購入。更に新しいギターを物色して当たりをつけたりと、
 いわゆる普段中々出来ないショッピングも堪能した。しかしあっという間に時は過ぎ、本番。
 この下りは、LIVE後記やレポートがあるのでここではあまり触れまい(^^)v
 でもはっきり言って、これだけ集中出来る環境でLIVEの準備に没頭出来る事は普段はない。
 嬉しかった。貴重な体験でもあったように思う。今後はまた、仕事の合間に時間をやりくりして
 LIVEを続けて行く事になるだろうが、きっとその事にも生きると思う。今後もお楽しみにネ!


 −伊豆♪−
   
 LIVE後2〜3日はゆっくりして、最後の仕上げに伊豆の温泉を組んだ。伊豆は春の気配だ。
 今回の宿泊は天城湯ヶ島。途中、色鮮やかな菜の花畑を幾つか見た。いいなぁ、春!
 まだ空いている時期だったので、渋滞にも無縁でゆったり出来た。釣りがしたいと思ったが、
 川はまだ禁漁期のはず。温泉三昧と温泉卓球に没頭した。洞窟露天風呂が最高♪
 サッカーのワールドカップ予選に興奮し、ビールもしこたま進み、川の瀬音を聞きながら眠った。

 翌日は天城越えをせず、土肥から堂ヶ島、松崎とドライブ。とても晴れて気持ちいい・・・が、
 西伊豆はとんでもない大風だったぁ〜!釣りなんざとんでもね〜!土肥で陶芸の窯を持つ
 ペンションを併設したギャラリー兼コーヒーショップに立ち寄り、海越しの富士山を堪能。
 しかし風は益々荒れ狂い、松崎に着く頃には車も煽られる状態。松崎プリンスホテルに避難。
 ここでランチ。セカチューのTV版のロケ地だったらしく、新たな観光名所となっている様子。
 でも消波ブロックを入れてから潮の流れが変わり、松崎の海は魅力が半減したように思う。
 ちょっと残念。

 ここから山側にショートカットして、下田を通らずに河津へ抜ける。
 次に伊豆に来たら泊まろうと目論む宿を探していたのだ。あったあった。いい感じ!
 そしてその近くに、「伊豆の踊り子」で学生が泊まり、踊り子と碁を嗜んだとされる、
 「福田家」という旅館を発見。さすがに古いが、なんとも懐かしい日本旅館の風情。
 遠い昔に思いを馳せる。純文学の舞台を辿る旅ってのもいいなぁ。

 ここからは海沿いに出て、帰路は東伊豆の海岸線をドライブ。風は東側の方が穏やかだ。
 途中、伊豆高原で桜の開花を発見。もう春だ。春なんだな〜!夕焼けが今日も綺麗だぞ!
 帰路も快適&ノン渋滞。そしてこの旅の終わりと同時に、田野のリフレッシュ休暇もピリオド・・・


 あっという間の3週間。この間、結局は旅とLIVEの繰り返しだったなぁ。
 
そしてまた新しい生活が始まる。不安と期待、プレッシャーとときめきとが交錯する。
 でも歌を聴いてくれる方々だって、それぞれの暮らしの中で様々な春を迎えているはず。
 皆がそれぞれのフィールドで歯を食いしばっているのに違いない。負けてられないぞ!
 さぁ〜て、一緒に頑張りますかぁ〜!!!

                                                 おしまい