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つれづれ日記-26


ウィーンの昼食



  - オーストリア -
 オーストリアの首都、音楽の都…ウィーン。
 山と湖に抱かれた、歴史ある美しい古都…ザルツブルグ。
 22歳の冬、大学の学友に誘われ、卒業旅行でヨーロッパを男二人で旅する事になった時、
 どうしても行きたい国の一つとしてオーストリアを主張した。この国の旅の記憶は清々しい。
 スイス、ドイツ、イタリア等と国境を接する。海はないが、アルプスを抱く美しい国だ♪


  - ザルツブルグ -
 スイスのチューリッヒやレマン湖を巡り、
 Euro鉄道で「Sound of Music」の舞台であるザルツブルグへ。
 ここでは当然、映画の舞台となった数々の名所を廻った。
 古城、修道院、トラップ大佐の家、町中の噴水、広場や公園に佇む著名な作曲家の銅像達。
 「Sound of Music」ツアーには、オーストラリアから来たという若い女性達と一緒になった。
 言葉がよく判らないので、片言の英語で
 「Please talk to me in English if you please. 」とか言ったら、
 二人ともキョトンとして見つめ合い、
 「Us … a while ago … or … every … it is talking in English. 」
 ん?英語で話してくれと言ったら、さっきからずっと英語で話していますってか?
 ひゃ~!失敬&失礼(汗)
 美人のドライバー兼ガイドの女性が運転するミニバンの車内は大笑いだった。
 そりゃそうだ…オーストラリアは英語圏。
 英語圏の国でも地域によって発音に差があると初めて知った。
 日本にも方言があるのと同じ事なんだね(^-^;

          
                  ザルツブルグ ※写真はオーストリア観光サイトからのイメージ流用

  泊まったホテル近くの町のレストランは、なんかこじんまりとかわいくて温かな感じ。
  何故か大学の後輩によく似てた???笑顔がキュートなウエイトレスさんに訊いた。
  「I would like to eat the menu of your most a favorite in this Restaurant..」
  スラスラと言葉を返してくれるが、意味が判らない。「In English please. 」…
  またキョトンとされた…ん?…う…や、やっぱり英語で話してたのか(汗)。
  …が、すぐに笑顔で幾つかのメニューを見繕ってくれた。
  美味しいと言うと、今で言うところのしたり顔でウインクしてくれる。
  オーストリア…この時には既に大好きな国になっていたっけなぁ♪


 - 音楽の都ウィーン -
 ウィーンに着いたら、やはり一度はコンサートに行きたい。
 情報収集し、その実現の為に街を巡る。
 でもよく判らないなぁ。チケット取扱店で立ち往生していると、
 品の好い初老の日本人女性と一緒になる。目的は同じだったので、
 情報交換しながら一緒に調べようという流れになり、あれこれ模索した。
 でもやはりよく判らない。ご婦人は多少の英語を使いこなしていた。
 知的で物静かで、装いもお洒落だ。

             
                       ウィーン ※写真は観光サイトからのイメージ流用

  切符が思うように買えず、田野は一度通りへ出て、深呼吸していた。
  その時、日本人の留学生と思しき可愛らしい少女がバイオリンケースを背負って通り掛かり、
  目が合った。とても爽やかな笑顔で会釈をしてくれたので、思わず声を掛け、
  チケット入手で困っている旨を伝えると、快くチケット店に入り、
  手際良く3枚のチケットをゲットしてくれた。ひゃ~!助かったぁ♪
  ん?ウィーンフィルとウィーンシンフォニーとを混同してた?
  ウィーンフィルは海外公演中?よってシンフォニーしか選択肢がなかったのに、
  フィルのチケット買おうとしてた?あひゃ~!俄かクラシックファンがバレバレだね(^-^;


  - ブランチ -
  品の良いご婦人は、ILO(国際夫人連盟)の日本代表の方で、
  ウィーンでの会議出席の為の旅だと知った。
  少女はやはり音楽留学生。当時17歳だった。
  授業が終わってレッスンまで時間があるとのこと。
  ご婦人もチケットを買ったらランチの予定だったとのこと。
  我々もホッとしてお腹が空いていたので、
  とっても不思議な巡り合わせの老若男女4人で、ブランチをする事になった♪
  お店は留学生の彼女が「任せて」と、言わんばかりに
  お薦めのオーストリア料理レストランへと案内をしてくれた。

          
                    写真はオーストリア観光サイトからのイメージ流用

  落ち着いていて、年季を感じるいい雰囲気のお店だった。
  料理は鶏肉とポテトが中心。お!美味しい♪心が豊かに満たされていく。
  不思議な取り合わせ…環境も生き方も世界が全く違うような4人なのに、結構会話が弾んだ。
  とても穏やかで優しい時間…冬の日の午後の陽射しが差し込んでいた。

  このブランチの場面が、多分田野の中ではかなり深い印象として、今も記憶に残っている。



  - コンサート -
  ウィーンフィルハーモニー管弦楽団は世界的に有名だが、
  ウィーンシンフォニー管弦楽団も地元のウィーンっ子には人気があると聞いた。
  コンサートには、学生当時に自慢の一張羅だった三つ揃えを纏い、颯爽と出掛けた。
  飽きる事のない、心地よい時間が流れた。先刻ランチをご一緒したご婦人もいらしていた♪
  昼間と服装がまるで違ったせいか、最初は気付いてもらえなかった(笑)。社交場風にご挨拶。

  正直クラシックを聴くようになったのは二十歳を過ぎたくらいの頃、
  車旅が好きな田野の、長距離ドライブの友としてのBGMテープ(当時…汗)の中に、
  数曲知っていた好きな音源を用意し、流しながら聴いていた程度。
  だから蘊蓄は判らないが、いいモノはいい。
  実際ウィーンシンフォニーは、我々に夢心地の時間をくれたんだ。

            
                 写真はオーストリア観光サイトからのイメージ流用

  もうその時の曲名も覚えていないが、今でも気分によって聴く音楽を選ぶ時、
  レパートリーにクラシックが混じるのはこの時の欧州旅行の影響は間違いなくあると思う。
  ホテルへの帰り道、寒かったが、とても満たされた気分で、一日の余韻が心地よかった。
  でも明日でオーストリアともお別れだ。


  - 初めての花便り -

  オーストリアを離れる日、時間が合えばランチでもして、見送ってくれると、
  留学生の少女が住所と電話番号を教えてくれていた。しかし電話…携帯のない時代…汗
  直接彼女が出るのではなく、寮かアパートメントの取次ぎ…と思うと、こ、言葉がぁ(^_^;)
  マクドナルドで昼食を取り、街で花屋を探した。
  「黙って去るよりは、メッセージをつけて花でも贈ろうかな」
  カードに、コンサートへの奔走と素敵なランチタイムへの御礼と別れを記し、
  教わった住所に花を贈る。当時日本では、また田野のキャラ的にも、
  花を贈るなんて照れ臭くて大袈裟に思える気がしたが、
  そんな事がスッと出来てしまうのがヨーロッパの不思議な空気のような…
  行きずり旅の気楽さなのか…よく考えたら女性に花など贈った事は、この時が初めてだなぁ。
  ウィーンの魔法…ってことで(笑)

  でもこの花を彼女が受け取る頃には、もうローマにいる筈。
  出会いが多かった分、別れはやはり寂しい。
  さよなら。オーストリア。最も印象深い海外経験として、今でも3本の指に入る大好きな国。
  ありがとう、ザルツブルグ&ウィーン…音楽の国♪オーストリア♪

 追伸:帰国すると彼女からエアメールが届いていました。
    中身は他愛のない御礼事と…後は内緒(笑)ですが、
    その後ご婦人をも含めて写真を送り合ったりはしていました。
    いつしか手紙のやり取りも絶え、記憶の片隅にあったオーストリア・・・
    でもこうして書いてみるとやはり忘れ難い彼の地の国なんですね!



                               おしまい