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つれづれ日記−9


アルバム創作後記


 ア、アルバムが…か、完成しまひたぁ〜!

 ☆所感

 う〜ん、長かったぁ!やっぱり大変な労力と根気でした。
 深野義和さん、
Jose有海さん、ROKU岩切さんには本当に感謝です。
 ありがとうございました。そして写真家の高橋英之さん、
 ジャケットデザインの高倉みどりさん、
 マスタリングエンジニアの
KIMKENさんを始め、
 関連でご協力頂いた多くの皆さん、そして何よりも「いつ?」「まだ?」と
 背中を押し続けて下さった皆さんのご期待が最後の最後まで
 モチベーションであり、支えでした。改めてお礼申し上げます。


 ☆創作背景

 4〜5年前から少しずつ録り溜めてきた曲が5曲目を数えた時、
 「アルバムにしよう」と決意しました。そこからは、
 時間さえあれば良い物が出来るという訳ではない事の、
 葛藤との根比べの日々でした。クリエーターが閃いた時、ノッた時、
 そんな時を「待つ」日々です。
 これはかなり贅沢な作り方と言えると思いますが、これが出来る環境は、
 商業ベースでないこのアルバムの強みとも言え、
 また自分の特長である「シンガー&ソングサラリーマン」を武器として
 為せる技でした。同時に多くの才能溢れる仲間達に恵まれた事が、
 絶対的な不可欠要因である事は言うまでもありません。


 ☆レコーディング風景

 レコーディングは、一曲毎にある日突然やって来るもんです。風邪をひいてたり、
 
LIVEの谷間で声が出なかったりで、三人のレコーディングエンジニアには、
 録り直しも随分とさせてしまい、かなり迷惑を掛けてしまいましたが、
 「良い物を作ろう」といつも逆に励まされ、根気よく付き合って頂きました。
 ああいう時の笑顔ってなかなか出来るもんじゃないけど、
 惚れてしまう
(?)くらいの素敵な笑顔を見せられ、随分と救われたものです。
 苦しかったけど、今思うと楽しかったなぁ…。


 ☆選 曲

 選曲は悩みました。「主のない部屋」…アルバムタイトルの、

 たった一曲のバラードに向けて全ての曲を構成し、
 対角線の曲を縦横無尽に配する…その方が田野らしい。
 でも「書き下ろしの一曲も入れよう」とプロデューサーの深野さんが発案し、
 「うん!」と思ったもののこれが中々出来なくて、残りの選曲が固まらない…。
 そんな中「魂の轍」は田野が
LIVEハウスに出始めた20年前から、
 あの過酷な「パリ・ダカールラリー」を戦い続けてきた菅原義正さんの
 応援歌であると同時に、自分の20年間や、様々なフィールドで一つ事を
 頑張って来た方々へのメッセージとして完成しました。
 曲の中で全てがダブッて見えた時「この曲だ!」と思い、収録を決めました。
 その後の選曲はあっと言う間に固まりました。


 ☆曲 順

 曲の順番…これがまた悩みました。
 最後の一曲を録り終えるまでは考えても意味がないと、
 あまり考えないようにしていました。全曲のレコーディング完了後は、
 悩んだ末に自分でイメージした順番がありましたが、
 「CANVAS TOP」の位置が微妙にしっくり来ない…
 結局自分の煮詰まったイメージを封印して深野さんに相談し、
 深野さんが熟考の末に出してくれた順番が、ほとんど自分のイメージと同じで、
 しかも「CANVAS TOP」の位置が見事に田野の中の違和感を払拭してくれており、
 すんなりプロデューサー殿の天の声で曲順が決まりました。
 さすがです!すっきりしたぁ!


 ☆ジャケット写真&デザイン

 レコーディング完了後は、知識もノウハウもないこの分野に意外と消耗しました。
 パームLIVEの写真や、げったがHP用に撮り貯めてくれた写真の他、
 一年以内に様々な方が撮ってくれた写真達を並べ、イメージを模索しますが、
 自分も周囲もしっくり来ない。ロケを敢行しても、イメージ通りのものが
 撮れる保証はない…そんな中、旧友である高橋英之さんのHPに
 心惹かれる写真を見つけ、ご無沙汰の彼にメールでイメージを相談。
 返信に添えられた写真を見て「これだぁ!」…と思いました。
 あれ?本人の写真どうしよう?シングル同様「写真だけの方がいい!」
 という周囲の意見に「う〜ん…ホントだ…」で納得。
 「京都・長楽館の一輪挿し」
 「香港・ペニンシュラホテルの部屋」
 「上海の夜明け」と揃った写真で、悩んだ末に田野は
 ペニンシュラホテルが表かなぁ…とも考えましたが、
 深野琴美ちゃんの「絶対一輪挿し!」とのインスピレーションがあり、
 これにノッてみようと思い、長楽館をメインジャケットに決定しました。

 この頃、天敵「花粉症」と闘う高倉みどりさんは一年で最も
 最悪なコンディション下にありましたが、彼女のクリエーター感覚も凄かった!
 ジャケット回りから歌詞カード、ジャケット裏、CD盤面デザイン迄、
 素材が不足する中で最高のパフォーマンスを体現してくれた彼女が、
 出来上がりを見た時の安堵と納得の表情は、付き合いが長い中で
 初めて見た彼女の知られざる一面だったな!田野が腰痛でダウンした時、
 業者さんとの最終打ち合わせは完全に彼女に任せた形になってしまい、
 プレッシャーをかけちゃいましたが、大役ありがとう!


 ☆最終工程完了の瞬間

 六本木のスタジオで、マスタリングエンジニアのKIMKENさんの手に掛かり、
 最終工程を経た完成マスターを聞き終えた時の気持ちは何に例えたらいいだろう?
 生涯忘れられない瞬間でした。そして「早く終わってくれ」と
 願い続けた日々の終焉は、正に「主のない部屋」のラストシーンでした。
 今は淋しくもあり、懐かしくもあり…
 でも、田野はもう次の夢を模索し始めています。
 再びあの辛い日々を味わいたいのです。歌唄いですから、
 何処まで…何時まで出来るのかは判らない不安と恐怖に苛まれながらも、
 聞いて下さる方が一人でもいてくれるなら続けていたいと、
 夢の続きを思い描きます。皆さんと共に分かちあえる夢と
 アルバム「主のない部屋」に、今は乾杯&ありがとう!


おしまい