田野と八ヶ岳の話−4


☆八ケ岳・釣り事情
(一部尾ひれ・脚色有…でも大半は事実じゃ〜!)


 八ヶ岳高原に暮らす人々や、この界隈に別荘を持つ方々の何人かは、
 その地の利を生かして渓流釣りに凝っています。彼等は山に入る楽しさも怖さも
 知り尽くしていますから、朝早くに起きると万全に準備し、天候情報を頭に入れ、
 それぞれの経験からその日ポイントを定めて山に入ります。
 この辺は八ケ岳の雪解け水がここそこに涌き出る名水の宝庫ですから、
 名もない清流も沢山あり、山奥に入ればイワナやアマゴが釣れるそうな…。
 でも場荒れを恐れて自分のポイントをあまり他人には教えない…う〜ん、判るなぁ!

 渓流魚の代表格であるイワナ、アマゴは川の最上流部で、
 しかも水が綺麗でないと棲息出来ません。見た事ありますか?
 シルエットも魚体も模様や色も本当に自然の芸術と言えるほど美しい魚です。
 ほんでもって美味!まぁ、天然物は魔性の魚ですね?イワナは白川郷で、
 アマゴは四万十川で釣った事がありますが、八ケ岳に来て早起きして
 行ける所まで行って車を置き、後は荷物を持って何時間か歩き、
 ようやくポイントに辿り着く…という根性は、田野には全くありませんでした。
 この努力を惜しまず、根気良く追い続けた者のみが
 この魚をゲット出来るのですぅ!

 今は営業してないのが残念ですが、プチホテル「H散歩」は
 女優のT樹S耶さんも隠れリゾートにしていた、
 門限やチェックアウト時間に寛大な(?)早起き苦手の田野にはアリガタ〜イ
 宿でした。まぁ、オーナーの杉山さんがパーム仲間ですから
 多くを語らずともね!ここの庭にもよくある細い小さな清流が
 流れています。ある日、遅く起きた田野はサンダルをつっかけて散策中、
 四万十仕込の野生(?)の感が働き、S山さんにイクラを分けてもらうと
 車に積みっぱなしの竿を取り出し、それこそくわえ煙草で糸を垂らしてみると…
 プルプル…アラ?…釣れちゃった…しかもいいサイズ、キレイな、イ・ワ・ナ(・・?


 ある夜パームに顔を出すと、渓流釣り大先輩とお見受けする方々が数名…。
 イワナが釣れた事を報告するが信じてもらえない。まぁいいや、別に…。
 おっとS山さんも来たよ。
 「あぁ?田野さん?ホントに釣ったよ、イワナ…うちの庭でね(-_-)」と、
 吐き捨てるような愛情のない証言。固まるパームの空気。
 「あ、あんなところで…」ぽつり呟く声が聞こえる。会話が途切れる。
 皆、何かの怒りに耐えているようにグラスをあおる…(・・;


 大泉から清里へ向う道の途中に「吐竜の滝」という滝があり、この下流側に
 川又渓谷があります。釣れるという噂なので、パームの長男坊「Y太」と
 夕方に行ってみましたが、小さな橋の脇に車を止め、アングラーは皆、
 やはり重装備で奥へ奥へと分け入って行きます。ビーサン&Tシャツの田野は
 「お呼びでない?」…橋の傍で少しやって帰ろ…ん?四万十仕込の野生の感が…
 あの落ち込みが魅力的…プルプル…アラ?来ちゃった…アマゴだぁ、キレイだなぁ!
 まぐれ?はは…ん?…あの澱みは…プルプル…あ、イワナ!これまたキレイ!
 …ん?…その岩陰…はは、スカだ…そうは甘くは…
 ん?あの淵…プルプル…あ、なんでニジマスが?…放流もの?…まぁいいや!
 わーい!大漁大漁\(^o^)/  パームへ持ち込んで酒の肴じゃ〜!


         

 以来人里で竿を持った連中や、人の家の庭に入ってる先客に
 やたら遭うようになった。この辺のアングラーは山深くに分け入る事を
 しなくなった。彼等にとって田野より早起きする事などいともたやすい。
 田野は八ケ岳界隈のアングラーに、お友達がいなくなった(?_?)
 さ、淋しい…(@_@) 
 でもその孤独と引き換えに、山奥の天然のイワナやアマゴ達は
 きっと安息の日々を送っているに違いない…^_^
 
                         
つづく

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